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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2019年7月

農業のIT化に大きく貢献するクラウド技術

農業のIT化は、1980年代ころから少しずつ取り組まれてきました。例えばハウス栽培をしている現場の湿度・温度管理や監視システムなどです。しかし、当時はそうしたインフラを整備しようとすると、コストがかかりすぎて一般の農家ではとても手が出せませんでした。

クラウドはこうしたコストの壁を取り払う役割を果たしました。現場のデータを集約し、分析する仕組みを安価に構築し、サービスとして提供できるようになったのです。これまではデータを収集、集約するにも通信コストがかかり、さらにデータを保存し、分析するシステムを構築するには、大きな負担がかかっていました。しかし、クラウドを活用することによって、農業データの活用が低コストでしかもITの知識がそれほどなくても、すぐに利用できるようになったのです。

クラウドによってデータ分析環境が「サービス化」されることで、様々な知見が利用できるようになります。経験の浅い農家でも、データをクラウドサービスに入れることで、最適な作物の育成方法を利用できます。長年培ってきたベテラン農家の知恵や、専門機関の科学的な知見をスムーズに誰でも活用できるわけです。

もろろん、データ分析によってすべてがうまくいくわけではありません。しかし、後継者不足に悩む日本の農業にとって、先進的なITの仕組みを取り入れることで、未経験者でもチャレンジしやすくしたことは、大きな変化といえるでしょう。

生産現場にさまざまなセンサーを取り付け、データを収集して効率的な生産をする仕組みとして、IoT(Internet of Things)があります。インターネット経由でデータを収集し、分析をすることで生産効率の向上と省力化を実現しようというものです。

IoTにはクラウドシステムが欠かせません。農業でもIoTの導入が盛んになっていますが、データ活用の基盤を事業者が自前で構築していては、コスト負担が大きくなってしまい、サービス化しても利用者を集めることは容易ではないからです。クラウド上でデータを活用する基盤を構築することで、初期投資も少なくて済み、また稼働後のシステム運用コストも下げることができます。また、農業の大規模化が進み、クラウドサービスの利用者が増加すれば、さらにコストを低減させることも可能です。

クラウドによって安価にデータ活用ができるようになり、サービスの利用者が増えると、より便利なサービスを提供しようとする事業者が出てきます。たとえば、簡単に多角的な分析ができるアプリケーションを開発して、既存のデータ活用基盤で利用できるようにするといった取り組みです。多種多様なサービスをできるようにすることで、クラウドシステムは「プラットフォーム化」し、さらに多くのサービスを利用できるようになります。

このように、クラウドはITの利用コストを大幅に低減させ、利用者にとってのハードルを下げるというメリットだけでなく、サービスの進化を迅速にしていくことができるというメリットもあります。もしこうしたサービスを自前でハードとソフトを購入し、一からシステム構築して作っていったとしたら、スムーズに維持、発展させていくことはかなり難しいはずです。

いま、大手から中小までさまざまなIT事業者が農業の分野に進出しています。それは、農業そのもののビジネスチャンスを見越したたうえでのことですが、それと同時に、参入コストがクラウドによって大きく下がったという背景もあります。このようにクラウドは新たなビジネスを生み出すための「インキュベーター(保育器)」のような役割も果たしていると言えるでしょう。

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