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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2019年9月

クラウドサービスを活用して事業の分析力を高める

 自社の事業分析は、経営層だけでなく各部門、部署にとっても重要な業務になっています。そしてこの業務を、クラウドサービスを利用して迅速に行う企業も増えてきました。

 ひと昔前は、営業部門などがSaaSを利用して自分たちの業績管理をしているケースが中心でしたが、今では、会社全体の事業分析にも利用されるようになっています。

 しかし一方で、Excelなどの表計算ソフトを利用し、各部門や拠点から送られてくるデータシートを管理部門が手作業で統合して業績資料を作成し、その上で分析にかかる、という企業もまだ残っています。

 実際、業績データを手作りでまとめるのは、大変な作業です。月に一度の経営会議のために多くの社員が早朝出勤、深夜残業をして作り上げているという実態も耳にします。またデータの正確性という意味でも、こうした手作りデータは不安定なものになりがちで、整合性を担保する作業も「データのまとめ役」の苦労は相当なものだと聞きます。

 多くの企業は、Excelなどを利用した「表計算ソフト文化」ともいうべきものに浸かってきました。各部署、事業所ごとに独自にマクロを使ったシートが存在し、ずっと使い続けているということもあります。すると、各費目や数字の取り扱い方に見えない差異が発生し、「データのまとめ役」は、各シートの事情や解釈を会得して作業を進めることになります。こうした細かい解釈の違いがいくつも堆積してくると、次第に正確なデータ把握が難しくなり、客観的な分析も難しくなります。

 それならば「すべてデータの扱いや解釈を標準化して、データシートも1種類にするようにすればいい」という声が聞こえてきそうです。しかし、扱う商品や材料、ビジネスモデル、取引先などが違えば、数字の解釈や費目の違いよって他部門とデータの差異が出てくるのも当然のことです。強引に統一すればそれこそ本来の業績が見えにくくなってしまいます。

 こうした事情が、経営分析のデジタル化を踏みとどまらせてきました。クラウドサービスによるデータ分析をしようにも、個々の例外案件が多すぎてとても対応できないというわけです。

 しかし、ユーザーが増えるにつれ、クラウドサービスを提供する側もこうした事情をくみ取る努力を重ねてきました。業界特有の業績把握のためのテンプレートを用意したり、部分的なカスタマイズを許容できるようにしたりするなどして対応可できるようになっています。会社全体の業績把握と分析は、クラウドサービスではなく、クラウドに置いた自社システムの中で実行することもできますし、その方が確実だという意見もあります。もちろんそれも間違いではありませんが、SaaSで提供されているサービスにも柔軟性の高いものもありますので、コストやセキュリティなどの要件に合わせて選択していけばよいでしょう。

 ここで留意しておきたいのは、表計算ソフトで作成していた業績データについて、ドキュメントを残しておくことです。部署ごとの数字や費目の違い、マクロの意味などを記録しておくことで、クラウドサービスに移行したあとも、さまざまな変更に対応できるようになります。移行に携わった人が永久に会社に残り、自社の業績データに関する知見を保持しているわけではありません。気が付いたら、過去の事情やクラウド上の数字の意味を把握している人が誰もいなくなっていた、ということにならないようにしたいものです。

 クラウドサービスでは、データ入力の手間を省くサービスと連携させることも簡単です。販売システムや顧客管理システムなどと連携させて自動的に主要な業績データを生成させることもできます。これはオンプレミスのシステムでも可能ですが、連携のためにかかるコストと運用負荷を考えればクラウドに軍配があがるでしょう。自動的に業績データがクラウド側に蓄積されるようになれば、月次ではなく週次、日次という間隔で会社全体、あるいは部署ごとの業績を把握することも可能でしょう。また、クラウド側からデータをダウンロードし、個々の業務現場で詳細な分析を実施できるようになります。これまでデータ分析をさまざまな角度から実施したいが、基幹システムからデータを抽出するのにいちいちIT部門に依頼しなくてはならなかった、という企業ではこうしたことも大きな変化となり、データ活用が一気に進むはずです。

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