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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2019年10月

小規模組織こそ賢くクラウドを活用し飛躍を目指そう

あるSaaS提供会社の日本法人の社長が、「ある程度大きな会社で導入してもらえば、効果も出やすいし、こちらのビジネスにとってもありがたい。だが、従業員10名以下の小規模のお客様の導入事例記事は、読んでいてわくわくしてくる。自分たちが提供しているサービスが、小さな組織が抱える壁を取り払うブレークスルーに大きく貢献していると思うと大変うれしい」と語っていました。

 「小さな組織が抱える壁」というのはさまざまあります。従業員が会社全体で10名ほどの組織もありますが、会社自体は数百名の社員がいても、その中の一部署は同じく10名ほどの小さな組織、というケースもあります。いずれの場合も、個々の従業員は概して多忙で、複数の仕事を抱えており、他の従業員のことなどは気にしていられない、管理者でさえ似たような状況のケースもあります。

 そのため、小規模な組織単位で導入するのは、CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)が多いようです。顧客を管理し、各顧客にどのようなアプローチをしていくか、個別具体的に方法を考え、管理者と担当者が共有するわけです。

 小規模組織は小回りもきき、互いのコミュニケーションもとりやすいといわれることが多いようですが、現実はそうとは限りません。各人が互いにどんな仕事をしているのか詳細がわからず、管理者でさえ成果だけを気にして、途中経過についてはあまり把握できていないケースも多いようです。

 SaaSのようなクラウドサービスが出てくるまでは、CRMにしてもSFAにしても、多額の費用を出してソフトウェアを購入して使うしかありませんでした。もしそのソフトが使われなくなっても、購入した額は負担するしかなかったのです。一方、SaaSは小規模でお試しに導入してみて、ダメなら解約することも可能なので、リスクを軽減できます。

 これは、ホームページ制作なども同じです。かつては各組織で専用のソフトウェアを買い込み、機能が拡張すればまた追加料金を払ってモジュールを購入する必要がありました。SaaSでも、大規模な拡張機能があれば追加料金が発生する場合はありますが、規定料金内で利用できることもかなりあります。

 現在は、多くのソフトウェアベンダーが自社製品をSaaSで提供するようになりました。例えばマーケティングツールなども提供されています。CRMと連携させてタイミングよくキャンペーン告知をしたり、一部の顧客にのみ値引き通知をしたりすることも自動的に行えるようになりました。SNSとの連携も簡単に行えます。

 さらに大手のSaaSベンダーには、自社のサービスをプラットフォーム化し、多様な企業のSaaSと連携してワンストップで利用できるようにしているケースもあります。見積もり作成、経費精算などさまざまなサービスと連携して1つのプラットフォームで使えるようになることで、コストや運用の手間を軽減できるようにしています。

 もちろん、SaaS導入では効果測定が欠かせません。導入したものの、実際にあまり効果が出ないサービスもあるはずです。月額料金でスタートはさせやすいのは確かですが、効果がはっきりわからないものを延々と使い続けることはムダでしかありません。

 とくに小規模組織では、経費について厳しい目が向けられます。一度、役に立たない、利用者も少ないSaaSを使い続けていたことが分かれば、その後のSaaS利用に後ろ向きな意見が大勢を占めてしまう可能性があります。いまの時代、SaaSをどんどん活用し業務を効率化させたり、新しいビジネスチャンスを見出したりすることが当たり前となっているのに、組織全体がそれに逆行するマインドになっては元も子もありません。

 効果測定の体制が整っていれば、どんどん役に立ちそうなSaaSを試してみるべきでしょう。使い込んでいくうちに、自然と組織に変化が出てきます。

 今「働き方改革」が盛んに叫ばれていますが、それよりもはるか以前、SaaSのCRMを利用している組織の中で、働き方改革と同様の試みがされ、定着していくケースが見られました。CRMを利用することで、対面した会議がなくても営業部員と上司のコミュニケーションが活発化し、定例の会議を大幅に減らしたり、直行直帰が許されたりすることが増えていったのです。こうした現象は、従来の慣習をブレークスルーした一例と考えられると思います。

 もともとフレックスタイムを導入して、社員一人ひとりにノートPCを配布している企業でも、日々の会議、ミーティング、日報作成で必ず夕刻には会社に戻らなくてはならないというケースは珍しくありません。しかし、上司も部下も、「CRM上でいままで以上に詳細な営業戦略も相談できるようになったし、ダッシュボードをみれば最新の売上情報も把握できる。日が暮れてからわざわざ会社に戻ったり、会議のために朝会社に出社したりする必要あるの?」ということになったのです。もちろんすべてがCRMのおかげだとは言い切れませんが、売上もアップし、残業時間も減り、社員の定着率も上がったという声はさまざまな組織から聞かれました。

 こうした試みには、自宅での労働時間をどう解釈するか、セキュリティは大丈夫なのか、という懸念はあります。しかし、制度改訂やテクノロジーによってこうした懸念を払しょくすることは難しい話ではありません。

 このように、最新のクラウドサービスをいち早く取り入れ、使いこなすことで、スムーズに働き方を改革したり、新しい戦略を生み出したりするきっかけを素早く作ることが可能になります。

 組織のブレークスルーを実現するには、何が問題なのかをあらかじめ分析し、それを改善するツールやテクノロジーを見つけ出す方法があります。しかし一方で、「役に立つかもしれない」と気軽にツールやテクノロジーを使ってみることで、多くの人がはっきりと気づかなかった問題やその解決策が見えてくることがあります。

 結果が分からないのにコストのかかるツールは導入できない、というのがこれまでの常識でした。しかし、SaaSを最初のアカウント数で導入して使ってみることは、それほどハードルの高い試みではなくなっています。小規模組織のブレークスルーには、このようなアプローチが欠かせないものとなるはずです。

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