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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2020年9月

非常事態にあるアパレル・ファッション企業の変革にクラウドが不可欠な理由

●アパレル・ファッション業界のEC化が進む背景とは
 今回は、アパレル・ファッション業界が進めてきたEC化とクラウドサービスとの関係を紐解き、今後求められる機能などについて考えていきます。
 経済産業省が2019年に発表した「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、衣類・服装雑貨等(アパレル・ファッション業界)のEC化率は2018年で12.96%となっています。
 EC化率とはEC取引総額を全商取引総額で割った数字を指します。この12.96%という数字は、「事務用品、文房具」(40.79%)、「生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等」(32.28%)、「書籍、映像・音楽ソフト」(30.80%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(22.51%)に次ぐ数字です。一見すると低いようにも見えますが、9つに業界を分類したうえでの順位ですからそれほど低い数字とも言いきれません。
調査結果からわかるように、アパレル・ファッション業界は商品をネットで販売することにそれなりの工夫を重ね、一定規模の市場を形成することに成功した業界と言えるでしょう。
 2000年代前半にECサイトが次々と稼動し始めた当時は、「衣料品は試着が必要なのでECサイトには向かない」などという意見もありました。しかし、今では否定的な意見を述べる人はほとんどいません。ECサイト上でサイズを指定するにしても消費者の多くは「このブランドのパンツならこれくらいの裾上げで大丈夫だ」と実店舗での購買体験をベースにして、自分にとって最適な商品を選んでいます。たとえサイズを間違えたとしても多くの企業が返品に対応しているため、消費者としては安心してECサイトで購入できるのです。

●新型コロナウイルスの感染拡大によって求められる「新たな施策」
 ECサイトを運営するアパレル・ファッション企業は、10年以上前から「リアル店舗とオンライン店舗の両方をどのようにしてうまく運営していくか」というテーマに取り組んでおり、あらゆるチャネルを連携させて利益を生み出していく「オムニチャネル」という考え方が、その流れで出てきました。
 具体的な施策としては、リアル店舗とEC店舗の両方で利用できるクーポンを発行するといったことが試されてきました。また、リアル店舗では体験型イベントなどを催して、リアル、EC、どちらのチャネルで購入してもお得なサービスがあるという取り組みを企画していたようです。
 しかし、新型コロナウイルスによって、様相は一変してしまいました。現状、百貨店などでは客足が戻ってきてはいるものの、都心の旗艦店ではなかなか以前のようには戻ってきていないという状況となっているようです。
 高い売上が期待できる都心の店舗で不振が続くようであれば、小売・百貨店だけでなくアパレル・ファッション企業もEC店舗での売上に期待をかけていくしかないはずです。つまり「リアルとオンラインのチャネルを融合する」といった施策などよりも、消費者を刺激する施策が優先されるようになります。
 具体的な施策は企業ごとに違ってきますが、少なくとも、そうした施策にはシステムを活用したデータ分析力が必要であり、迅速なシステムの構築・改善も求められます。

●MDと顧客管理の能力を高めるにはクラウドが最善手
 オンラインでの売上増に注力していくにあたって、まず、キャンペーンなどの企画力で集客を増やしていくことが大切になります。そこで必要になるのがマーチャンダイジング(Merchandising/MD。商品計画・商品化計画とも言う)と顧客管理の能力の高さです。
 そう考えると、「カート」など基本的な機能を備えるだけのECサイトでは済まなくなり、キャンペーンの管理や顧客分析、メールやSNSを利用したプッシュ機能、そして自動化機能など、効率的な管理の仕組みが不可欠になります。
 さらに言えば、アクセス数の急増に備える必要もあります。せっかくキャンペーンが成功し集客できたとしても、アクセス数の増加に対応できずサイトが機能しなくなってしまっては、元も子もありません。従来のECサイトをオンプレミスで運営している企業は、クラウドサービスへの移行を考えるべきでしょう。
 とはいえ、ここまで説明した機能を一から手組みで作り上げるというのは、コスト面でもほぼ不可能な選択肢となるはずです。

●チャネルを問わずクラウドが売上向上の施策を後押し
 現在では日本の大手アパレル・ファッション企業のほとんどが、パブリッククラウドサービスを使って、オンラインでのビジネスを展開しています。コスト面はもちろん、変化する外部環境に迅速に対応できるメリットがあるからです。
 なかなか企業として決断ができず、これまでECサイトやリアル店舗の関連システムをオンプレミスで進めていた場合は「クラウドありき」で経営企画を練るべきです。売上や利益が下がりつつある時に、「新たな設備投資は厳しい」という意見が社内で大勢を占めると思われますが、そこをあえて、詳細に研究を重ね、できるだけ取り組みやすいプランを作成することをお勧めします。
 おそらく多くの企業では、人的・経済的資源を「リアル店舗」か「バーチャル店舗」かにリソースを集中させる必要がでてきます。クラウドサービスは、どちらに重点を置く場合でも、大きな力となってくれるはずです。

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