メニュー

コラム

一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

TOP>コラム一覧>教育現場のクラウド活用が日本の未来を変える

CLOUDILコラム: 2020年10月

教育現場のクラウド活用が日本の未来を変える

●教育現場でコロナ対策が即時に実行できたワケ

 現状、新型コロナウイルスの感染拡大は収束しておらず、冬の到来を控えインフルエンザと新型コロナの同時流行に備える必要が出てきました。アフターコロナよりもウィズコロナ、つまりコロナ禍での新しい生活様式を本格的に考える必要があるのです。そんな中、これまでとは違ったスタイルをいち早く取り入れたのは、教育現場かもしれません。
 文部科学省の調査によると、2020年6月1日時点で遠隔授業を「行っていない」大学・高等専門学校は9.7%で、約6割が遠隔授業のみ実施しているとのことです。また同時期に実施された別の調査によると、全国の大学のリモート授業実施率は97%に上り、今年の4~5月に急激に増えたといいます。つまり新型コロナの第一波が始まったと同時に、リモート授業をスタートしたということです。
 こうした対応ができたのは、クラウドの存在が大きいはずです。ほとんどの大学では数千人規模の学生や職員がアクセスする、ポータルサイトやメールシステムを保有していると思いますが、リモート授業となるとデータのトラフィック量が急激に増加するので、それに対処するためのシステムが別途必要になります。こうした仕組みをオンプレミスで構築するのは、長期の準備期間が発生するため現実的ではありません。
 システム環境のレベルに違いがある中で、どこの大学でもすぐにリモート授業を開始できたのは、クラウドによってインフラを整備した結果に他ならないでしょう。まさに急な環境変化への対応にクラウドがいかに力を発揮するかを証明した格好になりました。
 現在では、従来通り対面授業に戻していく動きになっていますが、おそらくリモート授業が完全に消えることはないでしょう。まさしく「新しい生活スタイル」が定着しつつあるわけです。
 リモート授業を含めた「オンライン教育」のメリットは、コロナ禍という特殊な事情に対応だけではありません。それは「個別教育が可能」ということです。各教育プログラムに対する理解度は、個々人によって異なりますが、オンライン教育であれば、端末にさまざまな理解度を示す個別データが残されるため、個人に応じた理解度を深めるためのプログラムを用意することが可能になるのです。

●公教育に限らずさまざまな教育機関でオンライン活用が加速

 2019年12月に文部科学省から発表された「GIGAスクール構想」では小・中学校の生徒1人に1台のPC配布と、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークの整備が計画されています。同構想では、インフラの整備とともに「デジタルならではの学びの充実」を目指し、個別最適化された学びの実現が謳われています。
 個別に教育プログラムを用意し、各個人に最適化した学びを促すということは、生徒数十人に対し1人の先生、講師で対応する従来の対面での授業スタイルでは、かなり難しいということがわかるはずです。ですが、オンライン教育は従来型の学習を補強する意味で注目されているのです。
 筆者も先日、取材でオンライン授業に参加しました。プログラム言語を学ぶ社会人向けの授業でしたが、そこで改めて、オンライン授業は従来の対面授業を単純にバーチャル化したものではない、ということを認識させられました。
 その授業では、講義のあとにテストをします。同じ受講者仲間と相談しながら回答していくスタイルをとっており、各人が回答していく過程がモニタリングされます。動きが止まると、補助の講師がアドバイスを与えて助けてくれます。そしてテストの回答結果に合わせて、個別に別のテストを勧めたり、補助の講師にチャットで質問するということも可能でした。
 このように、児童・生徒を対象にした公教育に限らず、社会人を対象にした教育プログラムでも新しいオンライン教育が展開されつつあり、「デジタルならではの学びの充実」が検証されているようです。こうした教育を支えるインフラにはクラウドが大いに活用されていくはずです。

●クラウド活用における注意点とその対策

 セキュリティの面でもクラウドは大きなメリットとなります。教育機関におけるセキュリティは、一般企業と同等、もしくはそれ以上に重視されます。インフラが攻撃され、個人情報が漏えいしたり、成績が改ざんされたりする事件が起これば、同様のシステムを利用する別の教育機関にも影響が及ぶ可能性があります。
 内部、外部、両方の面でセキュリティをしっかり守っているという信頼性がなければ個別最適化のメリットは吹き飛んでしまいます。もし公的な教育機関でセキュリティ侵害が多発するようなことがあれば、オンライン教育そのものが長期中断させられる可能性もあります。対応策の1つとして考えられるのが、教育システムだけでなく、関連するセキュリティシステムもクラウドで利用することです。
 教育システムはクラウドで利用していても、セキュリティはデータセンターにアプライアンスなどのハードウェアを設置して対処しているケースがあります。こうした場合、機能強化を図りたいときは、新しいハードウェアを購入し、現場で設定するといった作業が必要となります。そのため、複数の工程を踏む必要があり、対応が遅れてしまう可能性がでてきます。
 しかし、クラウドサービスとして利用できるセキュリティシステムであれば、遠隔から設定変更や機能強化を実行できます。外部状況が悪化したとしてもセキュリティ施策を継続させることが可能になるのです。

「 コラム 」一覧

pagetop