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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2020年12月

ペーパーレス化の推進におけるクラウドサービス導入を成功させる鉄則とは?

●ペーパーレス化が再注目されるワケ

 再び「ペーパーレス化」という言葉が飛び交うようになったのは、おそらく「ハンコ問題」が脚光を浴びたからでしょう。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、リモートワークを進めたいが、会社のワークフローの中に書類に押印して決裁するフローが残っているため、出社を余儀なくされるケースが増えています。新しい働き方を推進するにあたって、いまだに「ハンコ出社」を続けていては、業務効率化はおろか、リモートワークも浸透していかないわけです。
 ここでひとつ、とある複合機メーカーが行ったペーパーレス化の実証実験を紹介しましょう。それは、マジックミラー越しに数名の担当者がオフィスワーカーを監視し、どのタイミングで紙のコピーをするのかチェックするという実験でした。調査結果から言うと、フリーアドレス、つまり「自分の席」が決まっていない状態にあったにも関わらず、コピーや印刷を行う人が続出していました。この実験から、保管場所がない環境に置かれても、人は紙の書類を出してしまうことがわかりました。

●加速し続ける「ペーパーレス化」の流れ

 このように、ついつい紙に頼ってしまうなどの課題はありますが、社会の流れとしてペーパーレス化は今後も止まることはないでしょう。その証拠に法律の面でもペーパーレス化は後押しされています。
2020年10月1日の電子帳簿保存法の改正によって、領収書原本の保存が不要になり、電子化されたスキャンデータで保存することができるようになりました。またクレジットカードや電子マネーで決済した経費も紙の領収書をもらって保存しておかなくてもよい、ということになりました。さらに、領収書に関する情報が検索しやすくなり、保管についても物理的なスペースを確保する必要もなくなりました。「領収書を提出するためだけに出社」もなくなるため、リモートワークの推進がしやすくなったのではないでしょうか。
 このように法改正が進んでいくと、現在あまり進んでいない自治体でのリモートワークの導入も大きく進展する可能性が出てくることでしょう。

●「脱FAX」がもたらす“念のため”という発想

 ここまで述べたように、法律も含めて政府が後押しすると、改革ムードが一気に浸透していくことは確かです。そんな中、ある意味「脱ハンコ」よりも多くの人に衝撃を与える言葉が河野太郎行政改革大臣から発せられました。それが「脱FAX」です。
多くの人は「FAXなんて時代遅れ」と思っているでしょうが、リモートワークができない、もしくは現場での仕事がメインになっている、例えば物流や卸売・小売業、飲食、アパレルの店舗などでは、FAXを使った業務がまだ残っており、社内外の情報伝達に利用していることもめずらしくありません。
企業の脱FAXはさらに加速していくはずですが、業務のデジタル化を実現するためのソリューションを新しく導入するたびに、その操作を従業員に説明するといった教育コストがかかってきます。また、操作の習熟度からくる不安感から「念のため紙の業務は残したい」という要望が出てくると予想されます。これに対して、どのように説得するかは、企業のマネジメント力にかかってきます。また、改革のヒントは、全体の流れに逆行する意見の中にこそあります。
 コスト面から考えれば、「一部だけは紙で残しておくべきだ」という考え方は、決して的外れな意見ではありません。重要書類の紛失リスクを検討する際に控えデータとして印刷した紙を残しているほうが、コスト的に安上がりという判断もあります。もちろんコピーしたデジタルデータを別のストレージなどに保管しておく方法もありますが、データの量と種類によっては、クラウドのストレージサービスに保管するよりも、紙での保管、もしくはオンプレミスのファイルサーバに保管先を作っておいたほうが、安上がりなケースもあります。
 つまり「念のため」という懸念や意見をすべて無視してデジタル化を進めると、必ず組織内で行き詰まりが出てきてしまうということです。

●クラウドサービスを賢く利用する組織を目指すには?

 ここまで書いてきた、「ワークフロー」「決裁」「電子署名」「脱FAX」「スキャンデータで保存」といった作業は、すべてそれぞれに対応したクラウドサービスがあります。加えて、安全性を担保できる方法も模索しなければなりません。
コピーのデータを自動的に別の場所に保管するシステムを構築する方法もありますが、構築にどのくらいのコストがかかるのか、万が一の際にコピーデータをすぐに本番データとして利用できるのか、といった疑問が出てくるはずです。
 このようにコストやセキュリティの観点から、さまざまな部門から拒絶反応が出るかもしれませんが、「ペーパーレス化」をはじめとするデジタル化を推進していくことで、クラウドサービスを賢く利用するノウハウが組織内に蓄積されます。「反対派を無視することなくガチンコで意見をぶつけ合う」、これもIT導入を成功させるための鉄則なのです。

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