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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2021年1月

5GはARやVRの進化の起爆剤になり得るのか?

●5G到来でAR&VRが身近な存在に?

いよいよ大手通信事業者から5G(第5世代移動通信システム)の提供がスタートしました。現在のところ、各社とも繁華街など限定的なエリアにとどまっていますが、今後、提供エリアは拡大していくはずです。
 この「5G時代の到来」によって大きな進歩が期待されているのが、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)関連の事業です。
 なにしろ4Gで10秒かかるデータ通信も5Gなら約0.1秒未満で実行できますし、通信の遅延も実測数値で4Gは40msecのところを5Gは10msecとなります。これにより、5Gが普及すれば有線、無線接続の遅延は格段に少なくなるでしょう。そして5Gは1秒間に2.5GBのデータを送ることができ、4Gでは同時接続は1キロ平方メートルあたり10万台だったのが、5Gになると100万台の接続が可能になります。
 このような飛躍的な通信性能の向上によって、例えば、オンラインゲームを提供している企業などでは、5G回線の利用を前提にしたコンテンツの開発に動き出すでしょう。5Gを利用すれば、ユーザーがHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用して本格的にVRで楽しむゲームを提供することも可能になります。
 このように、5Gはさまざまな業界の発展を支えるプラットフォームになると思われます。

●5G×ARで仕事とトレーニングの質が大きく向上

 中でも5G×ARは、あらゆる産業や教育分野に大きな影響をもたらすと予測されています。ARとは、リアルな現実場面を新しい情報で拡張し、より高次の労働や学習の向上を実現するものです。
 例えば、工業製品の組み立てや工場での設備メンテナンスなどで、現場にいて実際の機器を触りながら、ウエラブルグラス越しに、組み立てや操作の仕方をガイドする映像を参考に、仕事を進めていくことができます。これにより、経験の浅い労働者の技能習得スピードを上げていくことが可能になります。
こういった取り組みは技術的には可能でしたが、通信速度がネックとなり実用面に課題が残っていました。しかし、今後はそうした心配もなくなっていくでしょう。例えば、さまざまな製品やその試作品を、遠隔地のいる相手にデータとして転送し、ウエラブルグラス越しに共有するということも可能になるかもしれません。今までだと、物理的な試作品を実際に相手に送らなければ、図面だけで情報共有するしかありませんでした。ですが、ARを用いることで、外観や中身の構造データを3D映像として投影できるようになります。こうしたことが実現すると、テレワークでの仕事の質も大いに高まるはずです。
 ここまで述べてきたような5G×ARの活用によって起きるのはベテランと、そうでない人の「能力・技能差の縮小」でしょう。5G×ARで学習効率が向上することで、新人でも迅速に技能を上げていくことが期待できます。また、単に現場で分かりやすく映像でガイドしてもらうだけでなく、教師や教官によってリアルタイムに指導してもらうこともできますし、作業のデータを記録保存して、各人を評価し強化すべきところを集中的に指導することも可能です。このように5G×ARによって未経験者の多くが技能向上することで、現場全体のレベルアップを図ることができるでしょう。
 VRもARも「リアルタイム」というキーワードが重要なポイントになってきます。ARによる学習でも実際の作業を遠隔で他の人に見てもらいながら、指示をもらうことが可能になります。

●クラウドが5G×ARの発展を支える

 こうした5Gの活用には、クラウドコンピューティングが不可欠となります。生産現場などで5G×ARを数百人で利用する、といったことが起きれば、ローカル5G、もしくはプライベート5Gで現場専用の通信環境を構築し、エッジでのリアルタイムなデータ処理には、近接に構築したプライベートクラウドを使い、データのバックアップや分析処理には、パブリッククラウドを利用するといったスタイルになるのではないでしょうか。
 このように決して遠くない未来で、新たな「データ爆発」時代が到来します。ARだろうとVRだろうと、これまでの何倍ものデータを生成し、処理する必要が出てきます。
 そうなると必ずコストの問題が出てきます。いくら大きな効果があって、便利になっても、費用対効果が望めなければ、ここまで述べてきたような新しい仕組みは使えません。現在、クラウドはオンプレミスでシステムを利用するよりも低コストで利用できる、ということが大きなアドバンテージとなっていますが、新たな「データ爆発」時代を迎え、これまで以上に、「性能を維持しながら、どこまでコストを抑えることができるか」という課題に突き当たることになります。
 ですが、近い将来、こうした新しいニーズをくみ取ることのできるクラウド事業者が登場し、コストと性能を両立したサービスを生み出すことでしょう。「5G時代の到来」は既存のクラウドサービスにも最大級のインパクトを与えるものになりそうです。

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