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一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会(CLOUDIL)によるコラムです

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CLOUDILコラム: 2021年3月

「X-tech(クロステック)」がもたらすビジネスへのインパクトとは?

●X-techを支える「キーテクノロジー」とは

 X-tech(クロステック)とは、業種や仕事の名称にTechnologyをつけた造語の総称です。「Finance(金融)」×「Technology」でFintech(フィンテック)といったように、既存の業種などがテクノロジーによって革命的なビジネスが生まれ出る時に使われます。
 X-techを考えるうえでブロックチェーンはキーテクノロジーとなります。ブロックチェーンとは、分散型ネットワークをベースとして、複数のシステムに、暗号技術を組み合わせてデータを同期して記録する技術です。ネットワーク上の複数のコンピュータが取引データを確認・合意するために送受信するので、中央管理者が不在で、分散的に運用されることになります。そのためFintechの場合、メガバンクが介入しなくても仮想通貨をはじめとするデータの流通が可能となります。またデータを暗号化し理論上改ざんできない仕組みとなっているので、取引・契約情報、個人情報、信用情報などを利用しやすくなります。
 ブロックチェーンは「分散型台帳」ともいわれ、ユーザー同士が台帳を管理し合う仕組みになっているので、一部のシステムに何らかの障害が起きても、データ全体のやり取りがストップしてしまうことが少なくなります。
 こうした特性から、ブロックチェーンは金融業界だけでなく、多種多様な業界で採用されるようになりました。ですが、金融業界が積極的にブロックチェーンを取れ入れようとする理由は、業界全体が大きく様変わりすることが予測されるためといわれています。
 ブロックチェーンによる通貨などのデータのやり取りがさまざまなサービスに利用されるようになると、多くの金融機能が不要となる可能性が高くなります。支払、決済、ローン、クレジット、資金調達などの分野で新しいプレーヤーが台頭してくることが考えられるため、既存の金融機関はFintechに投資し、できるだけ早く新しいサービス市場で優位な地位に立とうとしているわけです。

●業界地図を塗り替え、雇用にまで影響するX-techの威力とは

 キーテクノロジーの活用で、教育業界のEdTech(エドテック)も発展するでしょう。現在の学校制度では、学校が、生徒の学習効果、実績を管理しているわけですが、ブロックチェーンでは、本人性が担保された教育成果、実績を証明できます。さらに実技についても、決まった学校で授業を受ける必要がなくなるかもしれません。
 こうしたことができれば、年齢を問わず、さまざまな境遇の人が学びを実践し、個々人の能力が証明され、ひいては雇用の促進、収入の増加も期待できるのではないでしょうか。さらに学びの履歴データをAIで分析し、個々の特性や不向きをアドバイスすることもできるはずです。たとえば、人材不足が叫ばれているエンジニア向きの人材を発掘して、さらに専門的な教育を低コストで提供する、といったことも可能になるかもしれません。
 修了資格や専門資格がいままで以上に取得しやすくなり、それらの正確な履歴データが保存され、活用できるようになれば、人材分野のHRTechなども大きく進展するはずですし、採用のミスマッチングも減少するかもしれません。
 このように、あるX-techが進展することで別のX-techが影響され、相乗効果をもたらすことも考えられます。このようにして見ると、X-techは既存の業種や仕事を発展させるだけでなく、それらの存在価値を根底から覆す可能性を秘めているといえるでしょう。

●クラウドの発展なくしてX-techの発展はない

 さまざまなX-techのサービスに欠かせないのがクラウドです。社会変革の多くは、ブロックチェーンとAIをベースにした各X-techによって実現されることになるので、クラウドは社会変革に欠かせないITインフラということになります。
 ただし、X-techによる変革を社会や人がすぐに受け入れてくれるかどうかは別です。たとえば、EdTechが進展すれば、既存の教育制度や機関は大きく変わらなくてはなりません。その仕事に従事する人も従来のやり方を変更する必要があり、場合によっては、対応ができず市場から去るしかないケースもでてくるでしょう。
 これは医療業界のMedTech(メドテック)でも同様です。理論的には、現在でもいろいろなことができるはずですが、現実には、患者情報の共有や「オンライン診療」など新しい手法への対応などでも、コロナ禍をきっかけに、ようやく整備が始まった感があります。このようにX-techは、その時々の市場ニーズに大きく影響を受けます。
 ですが、今後の成長を考えるとX-techはいずれ必要不可欠になるでしょう。こうした動きは、次第にデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として多くの分野に波及していくはずです。
 その中でも大きな発展が見込まれるのが農業のAgriTech(アグリテック)です。農業といえばデジタルが入りにくいイメージがありますが、AgriTechでは、ドローンやセンサーを活用した農耕地の現状把握、生産量のデータ管理をはじめ、ブロックチェーンを利用したトレーサビリティシステムなども進んでいます。作物の検査データや産地の証明などをデータ管理することで、需要を喚起することなどに役立てています。今後ますます、物流や小売業界との連携も必要となるため、それに伴い物流や小売業界の発展も期待できるでしょう。
 こうした各方面の進化によって、より一層クラウドの重要性は高くなります。そのためクラウドの通信速度や可用性を高める技術についても、今まで以上に投資が集中すると考えられます。

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