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後継者や経営者に必要な事業承継税制を分かりやすく解説

 2021.10.06  CLOUDIL 【クラウディル】

事業承継にあたっては、後継者の選定のほかにも経済的な負担が問題になるケースがあります。特に事業規模が大きいほど承継に際して大きな課税が発生し、事業継承の妨げになる可能性も否定できません。

そこで、ここでは経営者や後継者の方に向けて、事業承継の税負担軽減に役立つ「事業承継税制」を解説していきます。

事業承継税制の仕組み

事業承継では、後継者に会社の株式を引き渡します。しかし、大きな会社だと引き渡す株式が高額になり、贈与にせよ相続にせよ大きな課税機会となってしまいます。先代が亡くなったことをきっかけとするのであれば相続税が、生前の贈与で渡すのであれば贈与税が課されます。どちらも基礎控除があるため、一定額までは課税されませんが、事業の引き渡しとなれば控除ではカバーできない価額となるケースも珍しくありません。

そこで役に立つ特例が「事業承継税制」です。これは事業承継によって生じる相続税や贈与税を免除してもらえる制度です。先代から受け継いだ事業を、さらに次の後継者に引き継がせることができれば税負担の免除を受けられます。

この制度では、実際に会社の経営を続けることで相続税の「納税猶予」を受け、最終的に「免除」になる株式を後継者に相続するケースと、生前贈与で渡す場合の2パターンで活用できます。生前贈与の場合は贈与税の「納税猶予」を受けた後、先代経営者の相続の際に相続税の納税猶予への切り替え手続きが発生する点が少々複雑です。しかし、こちらも最終的に税負担の「免除」を受けられます。

相続以外の方法も認められるため、後継者が相続人にあたる親族でなくても問題ありません。

後継者の経営が長期にわたる場合は、それに応じた期間の利用を強いられる一方で、経営判断において比較的短いスパンで承継をしたい場合でも税金がネックとならずに済むというメリットが得られます。ただし、上記2パターン以外で、特に株式を売却するケースでは利用できない点には注意が必要です。

また、一度の承継では免除にならない点にも留意してください。後継者がさらなる承継を行った時点でようやく免除となります。それまでは猶予に過ぎません。ただし、本来納税すべきであった分を納めるだけですので、この点が大きなデメリットになるわけではありません。

平成30年度・事業承継税制の改正での変更点

事業承継税制は、平成21年の税制改正で始まった比較的新しい制度です。事業を円滑に引き継がせるという目的をより達成できるように平成30年度に新制度が創設されました。改正では、事業者にとって嬉しい「要件の緩和」「節税効果の向上」が加わりました。

例えば、免除できる株式の範囲が広がり、相続税の猶予割合も拡大されています。さらに対象となる後継者の数が最大3人にまで増えるなど非常に使い勝手がよくなっています。

事業承継税制を使用するための条件4つ

ここからはどんな企業が使えるのか、どんな経営者やどんな後継者でなくてはならないのか、事業承継税制を利用できる条件を整理していきます。

会社の条件

この制度を使うためには、自社が同制度でいう「中小企業者」に該当しなければなりません。業種別に定められている資本金の額または従業員の数で決せられます。

例えば、製造業であれば資本金が3億円以下または従業員が300人以下、小売業なら資本金1億円以下または従業員100人以下などと決まっています。なお、資産管理会社にあたる場合は対象外とされてしまいます。

しかしながら、生計を一にする親族以外を5名以上雇用し、事務所や店舗があり、なおかつ3年以上継続しているなど一定の要件を満たせば事業実態があるとして利用できます。これらの要件を満たした上で、特例承認計画書を作成し、都道府県知事に提出して確認を受けます。

後継者の条件

後継者は「会社の代表であること」「株式を受け取り、筆頭株主になること」が求められます。なお、贈与の場合は、20歳以上で役員への就任から3年が経過している必要があります。一方、相続の場合は相続前の3年間役員であることまでは求められませんが、相続発生から5か月以内に代表取締役に就任する必要があり、なおかつ相続の直前で役員になっている必要があります。

いずれにしろ、その場の思い付きですぐに利用できる制度ではないということに注意しましょう。条件を細かく確認した上で、しっかりと計画を立て、贈与による承継を検討しているのであれば3年以上前から下準備しておかなければなりません。

先代経営者の条件

次に、先代が満たすべき条件についてです。事業を継承しようと考えている人には「代表を経験していること」「贈与または相続の直前で筆頭株主であること」が必要です。贈与の場合は、その時点で代表から退いていなければなりません。

先代は保有するすべての株を渡し、代表の立場から退かなければならないなど、大きな決断をしなければなりません。承継に関して不安がある方は中小企業庁の財務サポートのページを確認してみるといいでしょう。

事業継続の条件

最初の承継では、納税が猶予されるだけで、免除を受けられるわけではありません。実際に免除を受けるには、再承継が必須です。とはいえ、少なくとも5年間は継続させる必要があり、それまでに再継承してしまうと免除されなくなる点には注意が必要です。

また、後任は5年間代表を続けるとともに株主であり続け、基本的に雇用の8割の維持にも努めなければなりません。この5年間は報告遅れなど各種取消事由に該当しないよう注意を払い、その後も3年おきに報告および届出をします

かつては雇用の維持がよく問題になっていました。しかし、この要件は法改正によって絶対的な要件ではなくなっています。雇用をできるだけ8割以上に保つことが大切ですが、8割を切ったからと言って即座に打ち切られるわけではありません。この要件を満たさなくなっても、経営状況の悪化など正当な理由があればよいとされています。

しかしながら、実績報告書の提出をして、維持できなかった理由を報告しないといけないなど負担がかかってしまいます。そのため現行法においても、極力雇用を維持するように努めるべきでしょう。

まとめ

事業承継税制を活用するには、制度の仕組みを理解し、条件を満たすように計画を立てなければなりません。さらに、その後の事業継続も重要なポイントです。雇用維持など、後継者が事業を成功させられることが重要になってきますから、これを支援する形でIT導入も進めていくと負担が軽減されるでしょう。

今では当たり前のようにクラウドサービスが利用されており、会社の活動を支援していますし、事業承継に特化して、承継のリスク管理を行うITサービスなどもあります。事業承継制度を使って節税しつつ、その後の事業を成功させるためにも、IT化に向けた取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?

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