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ICT導入の手順 ~総務省が提唱する「教育ICTガイドブック」を解説~

 2021.12.15  CLOUDIL 【クラウディル】

日本ではICT(情報通信技術)を用いた教育が進められており、総務省によって「教育ICTガイドブック」が2017年に公開されました。これを受けて、学校をはじめとする教育現場では、今後どのようにICTを導入していくかを検討することになりました。
今回は、2021年5月に改訂された「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の内容を含め、教育に向けたICT導入の手順について、総務省が提唱している「教育ICTガイドブック」の中身を詳しく解説していきます。どのような流れで教育現場にICTを導入すれば良いのか、費用や発注、検討すべきポイントなど詳しく見てみましょう。

「教育ICTガイドブック」とは

「教育ICTガイドブック」とは、総務省の「先導的教育システム実証事業」にて公開された、ICT導入のための詳しい手引書を指します。

2017年6月に公開されたこのガイドブックは、教育ICTに関連した詳しい事例が数多く紹介されており、教育ICTがどのようなものなのか、実際に導入するためにどのようなことをすれば良いのかをイメージしやすい内容になっています。

「教育ICTガイドブック」の構成

171ページにもわたる教育ICTガイドブックですが、その構成について見てみましょう。

前半部分は事例集が大半です。「学びを活性化する」「学びを最適化する」「学びを支援する」という3つのテーマから、実際に教育ICTを導入している事例を紹介しています。全国各地の教育委員会や小中高校、学習塾など、すでにICTを活用した教育を展開する例を掲載しています。

後半部分は、教育ICTをどのように導入していけば良いかという、導入マニュアルです。準備から計画の立て方、実際に調達するための予算確保や運用体制の整備、セキュリティ対策など、細かく分けて解説しています。

また、この記事ではおもに「導入手順」について詳しく解説していくため、教育ICT導入を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

クラウドバイデフォルトの原則

まず、2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」における方針のひとつである「クラウドバイデフォルトの原則」について解説します。

クラウドバイデフォルトの原則とは、政府の情報システムは「クラウドサービスを利用することが前提」という意味です。クラウド活用により、学校でデータを保管する手間がかからないこと、ユーザーが増えたり大きなデータを利用したりして利用量が増えると、システムを拡張しやすいことなどがメリットとして挙げられます。

文部科学省によって提唱される「GIGAスクール構想」でも、クラウド利用が前提となっています。

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「教育ICTガイドブック」によるICT導入手順

ここからは「教育ICTガイドブック」にあるICT導入手順について、段階を踏みながらひとつずつ詳しく解説していきます。
準備段階から計画の立て方、導入、セキュリティ対策の立て方やその後に検証すべきポイントなどを見てみましょう。

1.準備段階:目的・課題の洗い出しと情報収集

まず、教育ICTガイドブックによるICT導入手順の第一段階となる「準備」について。
クラウドを活用するメリットとなる「4つのS」を、教育現場でどのように活用するかを考えましょう。

Savable(セーバブル)

通常は管理が大変なサーバーの維持管理をせずに済むため、教職員の負担を減らすことができます。導入時や運用時のコストも削減可能です。

Secure(セキュア)

データは堅牢なデータセンターにあるためデータが失われることがなく、万が一の際にも業務を続けられます。

Scalable(スケーラブル)

児童数が増えたり、データの利用量が増えたりしても柔軟に対応でき、サーバー落ちのような現象が起こる心配がありません。

Seamless(シームレス)

学校や教員・生徒自宅などの場所、タブレットやパソコンなどの端末、これらの違いを超えて切れ目なくスムーズな通信が可能です。

専門家からのヒアリングを行うなどして、導入に向けた情報を幅広く集めましょう。

2.計画段階:あらゆる側面からの検討ポイント

続いては、具体的にICTを教育でどのように活用していくかを検討する「計画段階」についてです。まずは、ICTを「どこで」活用するのかを考えます。

学校での活用について

大前提として、学校での授業に用いる計画を行います。そこから、朝学習や放課後学習、授業以外の学級活動、年間の学校行事、部活動など、学校教育に関わるあらゆる場面でICTをどのように活用するかを検討します。
図書室や体育館といった学校施設をはじめ、これまでに設置されていた既存のコンピュータ室とどのようにタッグを組ませるかなども考慮しておきます。

校外での活用について

家庭学習や夏休みや冬休みなどの長期休暇中、そして校外学習など、学校の外で行う教育でもICTをどのように活用するかを検討しましょう。

次に、「どのクラウドサービスを導入するのか」「どのクラウドサービス事業者に依頼するか」を考えます。

普段の授業や家庭での予習・復習のみならば、動画教材やドリル学習型教材などを活用できますが、校外授業に用いたり生徒の意見を募ったりする場合には、SNSや協働学習支援システムの導入を検討すると良いでしょう。

さらに、スムーズなICT利用のための「ネットワーク環境整備」も検討します。
多くの生徒が一斉に利用するため、インターネットサービスの質が低ければ接続しづらくストレスを感じてしまいます。Wi-Fi(ワイファイ)を利用するか、LTE(セルラー)で接続をするか検討しなくてはなりません。
特にこのインターネット環境は、教育ICT導入の要と言っても過言ではなく、それぞれ検討時に注意しておく点があります。

Wi-Fiを検討する場合

建物の構造、学校の外から入り込む電波などさまざまな影響を受けやすい特徴があります。同時に接続を行う端末の台数をはじめ、アクセスポイントの数、適切なチャネル設定を行う必要があります。動画閲覧など大きな通信量が想定される場合や、利用するアプリのボリュームを考慮しましょう。

セルラーモデルを検討する場合

携帯電話通信網を利用するセルラーモデルは、校内はもちろん、校外学習で利用を検討する場所などで、あらかじめ電波がつながりやすいかどうかを確認しておく必要があります。また、データ通信量が制限されることもあるため、動画や大きなデータをやり取りする授業が頻繁にある場合、コストもかかります。

さらに、導入するICT機器の整備は公費からなのか、私費からなのか、WindowsやAndroidなど端末のスペックはどのレベルで準備すれば良いのか、電子黒板などの周辺機器をどの程度用意すれば良いのかなども検討します。

さらに、校外利用をする場合には、生徒が端末を持ち帰って利用しても良いのか、対応をまとめたマニュアルを作成する必要もあるでしょう。

3.調達段階:予算確保から発注まで

次に、予算について考えます。

文部科学省によって提唱される「GIGAスクール構想」では「1人1台端末」を目指すための補助金が支給されます。さらに、この予算の他に活用が期待される財源について、事例を交えてご紹介します。

  • ふるさと納税
    長野県喬木村(たかぎむら)で実際に活用されています。

  • クラウドファンディング
    北海道遠別町で実際に活用されています。

  • 防災予算
    岡山県倉敷市で実際に活用されています。

また、予算確保だけでなく支出(コスト)を減らす方法も検討しましょう。

たとえば、学校に導入する端末数を1人につき1台ではなく、1クラス分用意して交代しながら活用する方法や、Wi-Fiとセルラーモデルの併用をしたり、Wi-Fiを敷設する教室を限定したりする方法が挙げられます。

さらに、サービスレベル契約(SLA)の締結も行います。
これは、サービス品質を確保するために、クラウドサービス事業者が守らなくてはならないセキュリティ対策やデータのバックアップなどの要件をまとめた契約を指します。

4.運用段階:サポート、障害対策

続いて、運用にあたって必要になる人員整備、サポート体制についてです。
教育現場でICT活用を進めるには、実際に生徒へ教育を行う教員がクラウドサービスを用いた授業を展開したり、学校内での情報担当・管理者を設けたり、教育ICTに関するルールや方針決定を校長が行うなどの体制作りが必要です。

学校教員だけでは負担が大きくなるため、さらに外部から「ICT支援員」の配備を検討するのもおすすめです。授業でどのようにICTを活用すれば良いか、操作や設定のサポートなどを担ってくれます。
また、ICT活用に向けたルール・マニュアル作り、実際にICT機器を扱う教員のための研修も必要です。

そして重要なのが、トラブルが発生したときの対応方法についてです。
たとえば「ログインできない」「タブレットが破損した」などのトラブルが起こったときにどこへ相談すれば良いか、連絡体制を作っておきます。その他に、データ流出・不正アクセスといったリスクへの対策も講じることや、生徒のアカウント管理、個人情報保護など法的な問題にも対応しなくてはなりません。

端末整備推進に伴うセキュリティ対策

2020年以降、コロナ禍における子供たちの学びを保障するため、1人1台が端末を活用するシーンが一気に増えました。それに伴いクラウドサービスを日常的に活用していくため、利用するネットワークや場所に左右されないセキュリティ対策が必要です。主な対策を見てみましょう。

  1. クラウドサービス留意点
    ネットワーク帯域や、同時接続数がしっかりと確保される必要があります。さらに、安心してクラウドサービスを導入できるようセキュリティ対策の内容、第三者評価を重視しましょう。

  2. Webフィルタリング
    生徒が見る際に不適切なウエェブページを閲覧することを防止します。

  3. マルウェア対策
    インターネットなど外部からのリスクを下げるための端末における対策を実施します。

  4. 不正ソフトインストール防止
    セキュリティ設定の管理を一元化し、端末が盗難・紛失あった場合、遠隔からの端末のロックやデータ消去などできるように対策します。

上記のようなセキュリティ対策をとることは大前提です。さらに学校のみではなく家庭での利用も考え、保護者とも連携をとりセキュリティに関するモラルについて共有し、より安全な環境を目指しましょう。

5.検証段階:ICT施策実施後の振り返り

最後に、実際にICT機器を導入していくと、必ずどこかで改善点や課題が見つかります。これをもとに、改善策を立てて取り組み、その検証結果を公開していきましょう。
ICT機器が活用されているか、生徒の学力に変化があったか、意欲的な学習ができているかなど、あらゆる場面を検証します。

まとめ

教育現場におけるICT機器導入は、すでに日本各地の教育委員会や学校で始まっています。どのようなサービスを導入するかはそれぞれ異なりますが、教育ICT基盤としてクラウドサービスを導入する学校が増えています。
学校教員だけでは難しい導入について、導入支援してくれる企業もたくさんありますので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

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