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地方自治体のSDGsへの取り組みは?事例とともに解説

 2022.03.08  CLOUDIL 【クラウディル】

近年、注目を集める「SDGs」は「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を掲げる国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され、その達成には国という単位だけではなく、地方自治体や企業といった単位での取り組みも不可欠とされています。

本記事では、地方自治体が取り組むSDGsを解説します。

地方自治体がSDGsに取り組む目的

内閣府は、地方自治体によるSDGsへの取り組みを、地方創生を推進させるものとして位置づけています。「誰一人取り残さない」というSDGsの指針は、人口減少や高齢化が進行する地方にとっても重要です。

また、目標達成のために、企業レベルでの取り組みも求められるSDGsでは、地方企業にとって地方自治体の存在は、大きなパートナーになります。

そして、何より大切なのは、「何のためにSDGsに取り組むか」を明確にすることです。まずはじめに、地方自治体がSDGsに取り組む目的について解説します。

安心できる街づくり

地方自治体がSGDsに取り組む際に、目的の一つになりうるのが、安心できる「街づくり」です。地方創生を継続して推進するには、人口や経済の持続が大前提となります。そのためには、多くの人にとって、安心できる街であることが重要です。都市部への人口流出を緩和するだけではなく、移住者の流入が期待される街づくりは、地域が抱える大小さまざまな課題の解決にもつながっていくでしょう。

北海道では、「北海道SDGs未来都市計画」を進めています。SDGsは、2030年までに17のゴールを達成することを目指した国際目標です。そこで、「北海道SDGs未来都市計画」では、2030年のあるべき姿として、「世界の中で輝きつづける北海道」を掲げています。SDGsの推進に積極的に取り組むことによって、「世界の中の北海道」としての存在感を高めながら、誰一人取り残さない、将来にわたって安心して心豊かに住み続けることができる地域社会を形成していく、としています。

北海道内で、下川町がSDGsに取り組んでおり、北海道と同じく2030年にありたい姿を策定しています。2021年に発表した、「第2期下川町SDGs未来都市計画」で、具体的な取り組み計画を示しています。

下川町は、森林を豊富に有する自治体で、農業や林業、鉱業が経済基盤となってきました。SDGsへの取り組みでは、より効率的で低コストに木材を生産するための、ICT・IoTの活用や関連する技術開発を進めています。

また、地元で起業する人の支援制度に関しても、内容を改正しながら起業促進をしていくとしています。こうした取り組みは経済成長や人口流入を導き、地域活性化が実現されるでしょう。

地域おこし

「地域おこし」には、前述した自治体による計画策定や支援策の実施なども含まれ、非常に多岐にわたります。地域に活気を与えることを目的とする行動は、すべからく地域おこしに分類できるといってもよいでしょう。

ここでは、地域おこしのための制度として全国の自治体で採用されている、「地域おこし協力隊」が取り組むSDGsについて解説します。

富山県南砺市では、地域おこし協力隊がゲストハウス「合掌かずら」を拠点に、SDGsの普及啓発に関する業務などに従事しています。また、地元の高校でも、SDGsに関するワークショップを実施する活動の展開が見られます。

広島県東広島市の地域おこし協力隊は、「豊栄羊毛プロジェクト」を実施しています。同市豊栄町で草刈りのために飼育されている、羊の毛を使ったプロダクトを作る体験を古民家で提供しており、「羊のまち」としてのブランド化と、農村田園環境の維持を図っています。地元の住民を巻き込みながら活動することで、地域の活性化に貢献しているといえるでしょう。

地方自治体のSDGs導入計画「環境未来都市」構想とは?

「環境未来都市」構想は、環境・社会・経済の3点の価値創造により、「誰もが暮らしたいまち」と「誰もが活力あるまち」の実現を目指すものです。2011年に、下川町を含めた11都市・地域が選定され、先導的プロジェクトに取り組んでいます。

その11都市・地域の一つである北九州市は、アジアで初めてOECD(経済協力開発機構)の「グリーン成長都市」に選定されました。今後は、「地域や都市の中で人が輝く、賑わい・安らぎ・活力のあるまち」をテーマに、強みである市民力やものづくりの技術力、国際貢献力を活かして、女性・高齢者の活躍や環境産業の活性化、海外展開などへの取り組みを目指しています。

地方自治体がSDGに取り組む事例

ここからは、京都府と沖縄県の事例について、概要を解説していきます。

京都府と沖縄県は、どちらも内閣府が定める「SDGs未来都市」に指定されています。地方創生に資するSDGsの達成に向け、優れたSDGsの取り組みを提案する地方自治体、および持続可能な開発を実現する、ポテンシャルが高い都市・地域を内閣府が選出しています。その中でも、特に優れた取り組みを「自治体SDGsモデル事業」として選定・支援し、成功事例の普及を促進しているのです。

京都府では京都市・舞鶴市・亀岡市・京丹後市が、沖縄県では恩納村・石垣市が、それぞれSDGs未来都市に選定されています。

京都は、多様な文化や産業を長い歴史の中で継承し続け、新たな文化や技術を積極的に取り込み、社会や経済を発展させてきた地域です。地域の特徴として、持続可能で多様性のある社会を目指すSDGsに沿うものであり、地域性を活かした計画である「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」が進められています。

沖縄県は、SDGs推進の基本方針を「平和を求めて時代を切り拓き、世界と交流し、ともに支えあい誰一人取り残さない、持続可能な『美ら島』おきなわの実現」としています。南西諸島を代表する島の自然環境、そして歴史的な背景が方針に表れているといえるでしょう。その中で、観光分野におけるブランドの確立、子育て支援や多様な人材が活躍する社会、再生可能エネルギーの導入や自然保護など、環境面での活動を実行しています。

沖縄県の事例

恩納村で、SDGsの取り組みを進めるプレーヤーの一つが、JTBグループの「株式会社JTB沖縄」です。同社は恩納村と連携し、村が2017年に策定した「サンゴのむらづくり推進計画」に基づいて、地域課題の解決と豊かな村づくりを促進しています。

同社は、財源確保のために、宿泊税導入の勉強会やディスカッションなどを実施しており、SDGs未来都市に指定されてからは、「日本UNEP協会」とのパートナーシップ協定の締結などにも取り組んできました。世界一サンゴにやさしい村の実現を目的とした、サンゴ保全プログラム「Green Fins(グリーン・フィンズ)」の導入にも携わっているほか、真栄田海岸エリアの利用ルール策定に向けた事業計画策定も始めています。

京都府京都市の事例

京都市は、都市経営の基本となる「はばたけ未来へ!京プラン2025(京都市基本計画)」を策定しました。SDGsや自然災害などへの適応力の重要性を主張する、時代の潮流を計画に反映しています。長い歴史の中で、文化や地域の特色を育んできた背景を活かし、生活者を基点にした参加と協働で、未来を切り拓くことを理念としています。

2025年に達成すべき京都の6つの「未来像」、その未来像を実現するために、優先的に取り組むべき8つの「重点戦略」などを掲げています。未来像には「地球環境とくらしとの調和」「歴史と文化を創造的に活用・継承」など、重点戦略には「多様な文化の創造と発信」「都市環境と価値観の転換を」などを盛り込み、都市政策を推進しています。

また、市民の声に応える形で、街づくりのための活動を展開しており、フードロスをゼロにする活動などが実現されています。

環境未来都市構想の成果

「環境未来都市構想」では、どういった成果を上げているのでしょうか。

神戸大学の研究では「環境未来都市」と、低炭素社会を目指す「環境モデル都市」を、環境・社会・経済の指標で比較してみたところ、環境未来都市に選定されている都市の達成率は、環境モデル都市の達成率よりも高いことがわかりました。つまり、環境未来都市構想の理想像として、機能しているといえるでしょう。長期的な計画であるため、具体的な成果が見えづらいものの、一定の成果が出ているようです。

SDGs実施指針における自治体の位置づけ

2015年9月の国連サミットで採択された「2030アジェンダ」によると、「自治体はSDGs実施における不可欠な主体でありパートナー」と提言しています。各地方自治体の計画や戦略、方針の策定や改訂において、SDGsの要素を反映することを奨励しつつ、関係者との連携強化をはじめとした、SDGs達成への取り組みを支援する体制を実施しています。

まとめ

地方自治体は、地域を最も幅広く把握している団体、といっても過言ではありません。そうした特徴を持つ自治体が、自治体としてだけではなく、企業や教育機関と連携して、SDGsに取り組む意義は非常に大きいです。自治体しか果たすことのできない役割が必ずあるので、地域の特徴や目指す未来を考慮して、SDGsに取り組んでみましょう。

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