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製造業における生産性向上とは?ポイントと指標を徹底解説

 2021.10.29  CLOUDIL 【クラウディル】

製造業を営む企業にとって、「生産性向上」は優先的に取り組むべき経営課題のひとつです。自社の生産体制を総合的に強化するためには、生産性という概念を正しく理解しなくてはなりません。そこで本記事では、生産性について詳しく解説するとともに、重要なポイントや具体的な指標などをご紹介します。

製造業における生産性向上とは?

あらゆる産業において「生産性向上」は重要なテーマであり、とくに生産物の品質と数量が業績向上に直結する製造業では、最も重要な経営課題といえます。しかし、生産性という概念を曖昧に理解し、正しい施策に取り組めていない企業も少なくありません。そこで、まずは生産性の基本的な定義について見ていきましょう。

そもそも生産性とは、生産活動に使った時間や労働力などに対し、創出された成果を定量的に示す指標であり、以下の数式で算出されます。

  • 生産性=産出量÷投入量

つまり、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の投入量に対し、「どれだけの生産額や付加価値額を創出したのか」を数値化したものが生産性です。そして、産出量と投入量の値に別の指標を代入することで、多角的な観点から生産性を捉えられます。たとえば、投入量の値に従業員数と労働時間を表す「労働投入量」を代入することで、従業員一人あたりが生み出す成果、すなわち「労働生産性」が算出されます。

  • 労働生産性=産出量÷労働投入量(従業員数×労働時間)

生産性向上を目指す上で大切な視点

生産性とは、経営資源の投入量に対する産出量を示す指標であり、もっと簡単にいえばインプットに対するアウトプットの比率です。そのため、いかにして「最少のリソース(input)」で「最大の成果(output)」を生み出すかが、生産性向上における重要課題といえます。したがって、生産性を向上するためには産出量の増大を目指すだけでなく、より効率的な生産体制の構築に取り組まなくてはなりません。

たとえばAIやIoTの導入によって、設備保全や検品・検査を自動化できれば、人的資源の投入量が減少し、生産性の向上が期待できます。また、こうしたIT投資を行わずとも、生産体制の分析・改善に取り組むことで製造ラインが効率化され、より少ない労働投入量で同等以上の成果につながるでしょう。このように、製造業の生産性を向上するためには、「限りある経営資源をいかに有効かつ効率的に活用するか」という視点が求められます。

生産性を向上させることを求められる背景

日本は「ものづくり大国」と「輸出大国」という2つの顔をもち、資源に乏しい国でありながら、製造と輸出によって経済的な発展を遂げました。しかし、現代日本は人口減少や高齢化率の上昇といった社会問題が深刻化しており、少子高齢化に伴って生産年齢人口の減少が進展しています。なかでも人材不足の深刻化が顕著に見られるのが、製造業です。

経済産業省の調査によると、製造業を営む企業の多くが「人手不足」を重要な経営課題として挙げており、同時に就業者の高齢化が進み、若年層の入職者が減少傾向にあるという問題を抱えています。さらに2019年4月には「働き方改革関連法」が施行されたことも相まって、日本の製造業は今、労働環境や生産体制の抜本的な改革が求められています。

このような社会的背景のなか、製造業に携わる企業が競争優位性を確立するためには、生産体制の最適化と製造ラインの省人化が必要です。しかし、企業によって経営課題は異なるため、生産性向上への取り組みに絶対的な正解はありません。生産性を高めるためには、闇雲にIT投資をしたり、人員を削減したりするのではなく、自社の生産体制や経営課題を分析し、計画的に進めていくことが重要です。

生産性を上げるためのポイント

製造現場の生産性を高めるうえで重要となるのは、現時点における経営課題や問題の明確化です。先述したように、企業によって経営課題が異なるため、生産性向上への取り組みに絶対的な正解はありません。製造ラインや生産工程、人員配置などの課題や問題を明確化することで、自社に必要な取り組みや施策が可視化されます。

たとえば、保全業務や検品業務などは高度な知見を求められる属人的な業務であり、効率化が非常に困難です。製造業では、こうした高度な技術や深い知識を求められる業務が多く、熟練工のスキルに依存しがちな傾向にあります。このような属人的な業務をいかにして標準化するかが、製造現場における生産性向上の要といえます。

具体的な施策としては、熟練工のもつ技術や知識という「暗黙知」を、言語化・数値化・理論化し「形式知」に変換する「ナレッジマネジメント」が挙げられます。これら形式知をマニュアルに落とし込み、研修制度や人材教育に活用することで、業務の標準化につながるでしょう。これはあくまでも施策の一例であり、生産体制を俯瞰的な視点から分析し、仮説・検証を繰り返して継続的な改善に取り組むという視点が大切です。

生産性向上の指標

冒頭で述べたように、生産性とは経営資源の投入量に対する成果を数値化したものであり、産出量と投入量の値に別の指標を代入することで、さまざまな視点から生産性を把握できます。複数の観点から生産性を数値化し分析することで、経営資源を適切に活用できているかどうかが可視化されます。生産性を定量化する主な数式は、以下の通りです。

  • 生産性=産出量÷投入量
  • 物的生産性=生産量÷投入量
  • 付加価値生産性=付加価値額÷投入量
  • 労働生産性=産出量÷労働投入量(従業員数×労働時間)
  • 物的労働生産性=生産量÷労働量投入量(労働者数×労働時間)
  • 付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量投入量(労働者数×労働時間)
  • 資本生産性=付加価値額÷有形固定資産
  • 労働分配率=(人件費÷付加価値)×100
  • 売上高付加価値率=付加価値額÷売上高×100
  • 有形固定資産回転率=売上高÷有形固定資産×100
  • 労働装備率=有形固定資産÷従業員数×100
  • 総資本回転率=売上高÷総資本×100

製造業の成功事例

最後に、生産性向上に取り組み、高い成果を創出した企業の成功事例をご紹介します。

総菜製造業を営むM社は、かねてより「食品の選別工程におけるムダや廃棄ロスをいかにして削減するか」という経営課題を抱えていました。食品は鮮度と品質が重要であり、いかにして歩留まり率を改善し、直行率を高めるかが重要です。そこで同社が取り入れたのが、ビデオ解析による業務プロセスの分析です。

まず、食品の選別工程をビデオ撮影し、作業者の業務状況や生産設備の稼働状況を1秒単位で記録します。そして、各作業の所要時間をグラフに落とし込むことで、一連の業務プロセスにおける問題点を視覚的に分析できるようになりました。そして、分析結果に基づき器具の導入や業務プロセスの改善などに取り組み、労働時間はそのままに作業員数の削減に成功。結果として、食品の選別工程における労働生産性が33%向上するという成果を得たのです。

まとめ

生産性とは、経営資源の投入量に対する産出量を示す指標であり、いかにして最少のリソースで最大の成果を生み出すかが重要な課題です。同じ製造業でも企業によって課題は千差万別であり、生産性向上における取り組みに絶対的な正解はありません。まずは、自社の生産体制や経営課題を俯瞰的かつ多角的に分析し、仮説と検証を繰り返す継続的な改善に取り組んでみてください。また、セミナーやビジネス書などを通じて、生産性向上に関する知見を得るのもおすすめです。

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