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自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画とは?

 2021.11.22  CLOUDIL 【クラウディル】

民間企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まっていますが、自治体でも地域住民の利便性向上のためDX推進が求められています。しかし、自治体DXの必要性が叫ばれていても、それが具体的にどんなものか把握しきれていない方も多いでしょう。そこで本記事では、自治体DXの概要や取り組む事項などを解説します。

自治体DXとは?

「自治体DX」について理解を深めるには、まず「DX」について知る必要があります。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術の活用によりビジネスモデルを変革し、人々の生活をよりよいものへと導く取り組み、あるいはその概念をいいます。一般的には民間企業における変革を指す語ですが、近年ではこの概念が自治体でも広まりつつあり、それが自治体DXです。

改めて自治体DXとは、デジタル技術を有効活用することで、地域住民の利便性を向上させながら、行政サービスの効率化・最適化を図る取り組みをいいます。それによって職員の負荷を軽減させるという、働き方改革の側面もあります。本来的なDXとは若干ニュアンスが異なり、主目標を「地域住民への良質なサービス提供」に定めている点が特徴です。

対象期間が2021年1月~2026年3月までと限られているため、自治体DXを成功させるために奔走している職員は少なくありません。
(参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/000727132.pdf

自治体DXのポイント

自治体DXでは、全国共通の事務作業に関して、政府がアプリケーションの開発・標準仕様を策定し、それを自治体に展開すると定められています。そのため、各自治体に求められるのは、国の標準仕様に合わせて自治体の情報システムを移行したり、地域のニーズに合わせて行政サービスをデジタル化したりといった取り組みです。民間企業とも協調して、自治体が抱える課題を解消し、地域住民の多様なニーズに柔軟に応える必要があるでしょう。

また、各自治体が足並みをそろえることも大切です。財政状況はもちろんのこと、デジタルトランスフォーメーションの前段階である「デジタル化」の進捗も、各自治体で差があります。その中でも横展開できるような仕組みを各自治体が構築することに、期待が寄せられています。

データ様式を統一することも、客観的な根拠・証拠に基づく政策立案「EBPM(Evidence-based Policy Making)」のために重要です。EBPMは、日本においては2010年代半ばから導入されるようになりました。それまで日本では、科学的な根拠よりも前例などが優先されて政策を決める傾向にありましたが、EBPMを導入することで、既存の慣習などの客観的な効果測定・改善にもつながっていくことが期待されます。

自治体DXを進めるにあたっては、自治体の「BPR(Business Process Re-engineering)」も大きなポイントとなります。BPRとはビジネスの用語のひとつで、顧客の満足度を高めるため、組織の人事や企業理念、ビジネスモデル、業務プロセス・フローなどの抜本的な改革を行うことを指します。自治体DX推進計画においては、日本の「書面・押印・対面」といった習慣の抜本的な見直しなどが明記されている点に注目してください。自治体BPRは、地域住民のニーズに応えるために、組織の構造・業務プロセスなどを抜本的に見直し、再構築する取り組みといえるでしょう。

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自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画の取り組み事項

自治体DXでは、重点的に進めるべき事柄がいくつか定まっています。

すでに少し触れましたが、「自治体の情報システムの標準化・共通化」として、2025年までに国が策定する標準仕様に準拠した自治体のシステム構築が求められます。各自治体で業務の「ガラパゴス化」が起きている現状を踏まえた対策といえるでしょう。

職員がテレワークを行うことを前提にしているため、基本はクラウド型のシステムです。場所・時間を問わず情報にアクセスできることが求められます。業務を「見える化」し、外部委託しやすくなるよう、公務員でなくても行える業務などを抽出して対策を採っている自治体もあります。

また、2022年度末までに、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることも、重点的に取り組むべき事項として挙げられています。そのためには、プロモーション活動とスムーズな交付体制づくりが大切です。プロモーションの成功例としては、子育て支援の情報を集約する機能の一部として、母子手帳の情報・投薬や受診履歴などを登録できるシステムが挙げられるでしょう。

ほかにも、来庁の手間を省く「行政手続きのオンライン化」も、地域住民の利便性向上に直結します。子育て関係(児童手当、保育施設等の利用申込、保育施設等の現況届、妊娠の届出など)や介護関係(要介護・要支援認定の申請、介護保険負担限度額認定申請など)をはじめ、31の手続きが対象です。

さらに、行政サービスの提供の効率化を図るために、「AI・RPAの利用推進」「職員のテレワークの推進」「セキュリティ対策の徹底」が重点的に取り組む事項としてピックアップされています。

DX推進に不可欠な4つの推進体制の構築

自治体DXを推進するためには、下記の4つの体制を構築することが必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

組織体制の整備

DXを進めるうえでは、全庁的な協力体制が何よりも大切です。DXの意義が正しく伝わっていなければ、いざ新しいツール・プロセスなどを導入しても、スムーズな運用は望めないでしょう。全庁的なマネジメント体制を構築し、DXの重要性と、それによって得られるメリットなどを共有するようにしてください。

デジタル人材の確保・育成

ICTに関する専門知識を備えた「テック人材」は、国内外で獲得競争が続いています。とりわけ給与水準の低い日本では、優秀なテック人材の囲い込みが困難といわざるを得ません。そのため、国が外部人材を雇用するための補助も行っています。また、ある程度のデジタル知識を備えた「デジタル担当職員」の育成も、国から推進されています。

計画的な取り組み

民間企業においても同様ですが、DXには計画的な取り組みが欠かせません。DXの前段階として、まずは各業務プロセスの「見える化」を行い、自治体が抱える課題・強みなどを抽出し、リストアップしておきましょう。その後、それらに優先順位をつけ、それぞれが解決につながる方法を考案し、実行に移します。実行に移したあとも、スムーズに運用されているか、新たに生まれた課題はないかなどを常にチェックして、問題があれば都度調整してください。

都道府県による市区町村支援

都道府県には、市区町村が独自に行う取り組みの推進・デジタル技術の共同購入・人材確保などを支援することも求められています。

自治体DXと合わせて取り組みたい事項

自治体DXと合わせて取り組みたいのが、高齢者などへのデジタル活用支援や中小企業のDX支援、デジタル人材の育成・確保といった「地域社会のデジタル化」です。それと同時に、ICTを利用できる層/できない層で生じる格差、いわゆる「デジタルデバイド(digital divide)」にも対策を講じる必要があります。

コロナ禍のデマ騒動などでも見られたように、触れる情報の量・質によって情報格差が生まれ、それが最終的には機会・待遇の差などの深刻な格差につながります。そのため、高齢者や日本語に不慣れな外国人などに向けた、利用者目線の行政サービスの提供が重要です。

これらを並行して取り組むことで、自治体DXを終えたあとの運用がスムーズになるでしょう。また冒頭でも述べたとおり、BPRやEBPMを行うためにも、官民データの有効活用に取り組んでください。

まとめ

自治体DXは、デジタル技術やデータを有効活用することで各業務プロセスを最適化し、それによって職員の過度な負担を減少させ、地域住民の利便性向上や行政サービスにおける品質向上につなげるものです。そのためには、それぞれの自治体でガラパゴス化した業務プロセスの標準化・共通化などが求められます。それと同時に、地域住民の間で深刻な情報格差などが生まれないよう、各自治体が配慮する必要もあるでしょう。行政サービスのデジタル化はもちろんですが、地域社会のデジタル化にも取り組むことで自治体DXが推進しやすくなり、その後の運用もスムーズになります。

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