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地方創生の取り組みには何がある? 企業の成功例から学ぶ成功のポイントとは

 2021.09.30  CLOUDIL 【クラウディル】

現在、少子高齢化や首都圏への人口一極化への対策として、政府は地方創生を強化しています。しかし、地方創生は行政のみによって達成できるものではなく、企業の積極的な協力が不可欠です。そこで本記事では、地方創生に取り組む企業の成功事例や、成功のポイントについて解説していきます。

「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」ための取り組み

地方創生に取り組むうえで、企業に求められる大きな役割のひとつが、地方における仕事や雇用の場を増やすことです。まずはこのテーマに関連する成功事例として、株式会社小松製作所の取り組みを見ていきましょう。

株式会社小松製作所

2021年に創立100年を迎えた建設大手の小松製作所は、創業の地である石川県小松市に本社機能の一部と社員約150人を移転しました。同社は小松市に「こまつの社」を設立し、複数事業所に分散していた社員研修の場をそこに一元化したのです。

こまつの社は、地域の子供たちに対してOB社員が理科・ものづくり教室なども実施しており、年間約6万人の子供たちが訪問するなど地域交流の場としても機能しています。同社は2011年に6名の地元人材を採用したことを皮切りに、地方採用も開始しています。

成功のポイント

小松製作所の成功ポイントは、地元から広く協力やバックアップを得られたことにあります。まず同社は、石川県と地方創生を進める協定の締結に成功し、県のバックアップ体制を得ました。

また、金沢大学や地元の製造業者のほか、農林業者との連携も深めるなど、地元の力をフル活用した地方創生に取り組んでいます。たとえば、小松市の同社粟津工場に取り入れられているバイオマス発電の燃料には、地元の間伐材が燃料として使われており、林業者の仕事を生み出しています。

地方への新しいひとの流れをつくる

地方創生においては、都心部に暮らす人々を地方へと流入させることも重要です。続いては、この都心部と地方をつなぐための事業として、千曲川ワインバレーの取り組みをご紹介します。

千曲川ワインバレー

長野県はブドウ栽培とワイン醸造を次世代の中核産業と定め、ワイン産業の振興のため「信州ワインバレー構想」に取り組んでいます。千曲川ワインバレーは、この信州ワイン構想における1ブロックで、8つもの市町村が合同で広域ワイン特区を作り、小規模ワイナリーの集積に努めるなど、先進的な取り組みで知られています。

ワインといえばヨーロッパの銘柄が強いイメージですが、現在は世界中で数多くのワイナリーが、地元の特性を活かしたワインをつくっているのをご存じでしょうか。千曲川ワインバレーに参加するワイナリーも、長野の気候や特性を活かしたワイン用ブドウの栽培からワインづくりに力を入れており、官民を挙げて地域のブランド化や地域の活性化を進めています。

成功のポイント

千曲川ワインバレーの成功ポイントは、「土地」というその地域に唯一無二の特性を活かしたことにあるでしょう。千曲川ワインバレーは、ワインの名産地として知られるフランス・アルザス地方によく似た高冷地の特性を活かして、ワイン用ブドウを生産し地元で加工することで、雇用の創出と地域の活性化に成功しました。

また、ワイン特区の指定や農水省による機構集積協力金、あるいは県による原産地呼称制度など、国や自治体の制度を多数活用しているのもポイントです。県や市は、このような制度や助成金を設けることによって、事業者の負担軽減や積極的な新規参画者の募集を図っており、さらなる事業の拡大を目指しています。

若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える

地方創生の根本目標のひとつに、少子化の解消があります。そこで以下では、若い世代の結婚をサポートし、次世代に命をつなげる事業として、タメニー株式会社の取り組みをご紹介します。

タメニー株式会社

結婚相談所をはじめ、婚活事業を手掛けるタメニー株式会社は、婚活支援システム「parms」を福島県や秋田県など地方自治体に提供し、少子対策事業を支援しています。

parmsには婚活アプリの基本機能であるマッチング機能が搭載されており、「自分が大事にしている価値観」と「結婚相手に求めている価値観」をクロスマッチングすることで、相性のよいパートナーをAIが自動診断することが可能です。このシステムは、同社のコンシェルジュの意見やユーザーインタビューなどを参考に、10年間以上かけてマッチング精度の向上を重ね、実際に何組ものカップルを誕生させました。

成功のポイント

政府は少子化対策の一環として、AIを活用した自治体の婚活支援事業に対し補助金を出しており、タメニー株式会社の取り組みもそのひとつに当たります。人間同士の相性の良し悪しをAIで測ることについては、いまだ抵抗や不信感が根強い点は否めません。ですが、客観的な情報をもとにマッチングを行うAI婚活は、直感の要素が強い人間によるマッチングとは違った強みを持っており、自分自身では選びそうもなかった意外な良縁をもたらし得ます。このようなAI婚活は、宣伝次第では「面白そうだ」と人々の興味を惹く可能性もあり、今後デジタルネイティブ世代の人々が増えるにつれて抵抗感は薄れていくでしょう。

また、parmsは事業運営側の使い勝手にも配慮したUIを備えており、スタッフの作業を効率化する機能も充実しています。地方自治体においては、必ずしもIT人材が揃っているとは限りませんが、そのような場合でも運用しやすい点は大事なポイントです。

時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守る

地方創生においては、その時代に合った地域をつくる努力が欠かせません。続いては、住民も含めた地域ぐるみで事業を興した成功例として、株式会社吉田ふるさと村の取り組みについてご紹介します。

株式会社吉田ふるさと村

株式会社吉田ふるさと村は、人口流出と高齢化が深刻に進む中で、地域産業の振興と雇用創出を目的とし、地域住民有志の発意によって設立されました。つまり同社は、既存の会社が事業の一環として地方創生に取り組むケースとは異なり、地方創生そのものを目的に起業した会社なのです。そのような背景から、同社は資本金の約27%を地域住民が出資しており、事業運営においても商工会と行政、住民が連携を図りながら事業を展開しています。

同社は当初、地元農産物の加工販売や水道工事、バス運行などの事業をメインとしていましたが、2002年には卵かけごはん専用醤油「おたまはん」を発売し専用調味料ブームの引き金になるなど、斬新な取り組みで注目を集めています。

成功のポイント

吉田ふるさと村の成功の秘訣は、「おたまはん」の例からも窺えるように、面白いと思ったアイデアは積極的に取り上げ、実行していることにあるでしょう。たとえば近年では、かつての地域産業であった「たたら製鉄」の文化や施設を観光資源として活かし、人を呼び込むことに成功しています。

また採用においては、すでに完成した人材を無理に求めるのではなく、育てることに力を入れているのも同社の特徴です。同社においては、資格がなくてもやる気があれば採用し、資格取得のために必要な費用や環境を会社側で用意するようにしています。地方創生において重要なのは、いかに人を呼び込むかという点です。地方へのUターンやIターンを促進するには、同社が実施しているように、「やりたいことができる可能性の開かれた地域」であることをアピールしていくことが大切です。

まとめ

本記事では、地方創生に取り組む企業の成功例をご紹介しました。これらの事例からも見られるように、地方創生においては地域住民や事業者からの協力が欠かせません。積極的に外部との交流を持ち、オープンに事業を展開していくことが求められます。また、地方創生の要は人であることから、人を呼び込むための施策に力を入れるのも大切です。そのためには、国や自治体の補助金制度なども活用しつつ、新規の事業者や人材を受け入れやすい環境を整えることが重要となるでしょう。


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