メニュー

2021年版中小企業白書・小規模企業白書をわかりやすくまとめてみた

 2021.11.26  CLOUDIL 【クラウディル】

中小企業庁は2021年4月、中小企業・小規模事業者の現況を示す「2021年版中小企業白書・小規模企業白書」を発表しました。白書を読めば、新型コロナウイルスが与えた影響や、デジタル化や事業承継などへの取り組みの実態を把握できます。本記事では白書の概要とともに、中小企業が危機を乗り越えるための具体策をご紹介します。

2021年版中小企業白書・小規模企業白書の概要

社会全体を見ても、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出自粛や外需減少などの影響を直に受けた年となりました。2021年4月に発行された「2021年版中小企業白書・小規模企業白書」では、この1年間で中小企業などにもたらされたか影響が克明に記載されています。まずは、白書から見る中小企業の変化について解説します。

新型コロナウイルス感染拡大の影響

東京商工リサーチが2021年3月に実施した「第14回新型コロナウイルスに関するアンケート調査」によると、新型コロナウイルスが企業活動に「なんらかの影響を与え続けている」と回答した企業が、全体の71.3%にのぼりました。「まったく影響がない」と答えた資本金1億円未満の企業はわずかに4.8%で、多くの中小企業が依然として厳しい状況にあることがうかがえます。

一方、倒産件数を見ると、リーマンショックがあった2008年の15,646件と比較して、2020年は7,773件と半数程度に抑えられています。これは、金融支援の拡大や持続化給付金など各種支援策によって食い止められた結果ともいえますが、引き続き留意しておく必要があります。
(参照元:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf P28、50)
(参照元:https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210423001/20210423001-2.pdf P2)

事業環境変化への対応

新型コロナウイルスの影響下において、いち早く事業環境の変化に対応策を講じた企業ほど、回復する割合が高いことも見えてきました。東京商工リサーチが実施した「中小企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート」によると、事業環境変化に対して「十分に対応できている」と答え、売上高が回復した企業が63.1%と半数を超えています。

一例を挙げると、東京都墨田区で飲食事業を営むとある企業は、以前から問屋からの仕入れ値の値上がりに悩まされ、漁船を購入し中間コスト削減などに取り組んでいました。しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年3月の売上が前年比95%減少し、先を見据えた対策が必要となりました。今後の宴会需要について回復の見込みがないと判断し、12店舗あった店を1店舗に縮小。代わりに、独自のサプライチェーンを活用した弁当のネット販売や、ペットフードの企画開発に乗り出しました。従業員の雇用を守りつつも、時代の変化に柔軟に対応している好事例です。
(参照元:https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210423001/20210423001-2.pdf P3~4)
(参照元:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf P286)

中小企業の危機を乗り越えるための具体策

一過的ではない企業活動への影響に対して、中小企業はどのように危機を乗り越えていくべきなのでしょうか。以下ではその具体策について、白書をもとに4つの観点から解説していきます。

1. 財務指標に基づいた経営分析

まずは、財務状況についてしっかりと把握することが重要です。財務指標に基づいた経営分析を行ったうえで、環境変化に柔軟に対応できる経営戦略を構築していかなければなりません。

中規模企業においては近年、借入金依存度が低下しつつあるものの、小規模企業は2019年度時点で60.1%と高い水準で推移しています。加えて、小規模企業の自己資本率は緩やかに上昇している一方、損益分岐点(売上高が何%まで落ち込めば赤字になるかの転換点)は92.7%となっており、新型コロナウイルスによる経済活動の影響のような急激な変化に対応する力が弱いことがわかります。これらの状況を踏まえ、財務基盤の強化に向けた戦略が必要となるのです。

経営戦略の新たな視点として、中小企業においてもSDGsを意識した環境・エネルギー分野への進出や、越境ECの利用が増えています。東京商⼯リサーチの「中⼩企業の付加価値向上に関するアンケート(2019年)」によると、新たに進出を検討する成長分野が「環境・エネルギー」の12.9%で、次いで「AI・IoT」が10.8%でした。

IT活用により海外への販路拡大につながるのが、年々市場規模が拡大している越境ECです。⽇本貿易振興機構の「2020年度⽇本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」においても、中小企業で越境ECを利用する割合が5割弱まで伸長していることが示されています。

2. デジタル化の推進

昨今の働き方改革の推進に加え、新型コロナウイルスによってテレワークの重要性が再認識されました。野村総合研究所の「中⼩企業のデジタル化に関する調査」において、「事業継続力の強化におけるデジタル化の重要性への意識が高まった」と答えた企業は、全体の7割弱を占めています。

テレワークを推し進めるために、企業活動のあらゆる場面でデジタル化は必須です。具体的には、オフィスでなくても業務できるコミュニケーションに関するシステム・ツールや、人的リソースを割いていた定例的な作業をロボットで行うRPA、電子契約が可能なクラウドサービスなどがあります。白書では、従業員に無理のない範囲でExcelやシステムの使い方を習得させ意識改革した企業や、EDI(電子データ交換)を活用し発注業務のやり取りを省力化した例が挙げられています。

いずれにしても、デジタル化を促進するためには、積極的な経営者の関与が欠かせません。業務プロセスの見直しや従業員の意識改革を含め、デジタル化を推進するための土壌づくりをしていくことが大切です。

3. M&Aによる事業承継

東京商⼯リサーチの「2020年『休廃業・解散企業』動向調査」によると、経営者の高齢化や新型コロナウイルスの影響を受け、休廃業・解散件数は49,698件となりました。これは調査開始以来、過去最多です。その中には高利益を生み出す企業もあり、少子高齢化が進む中で後継者不足に悩んだり、事業継承の術を見つけられなかったりする経営者の存在が垣間見えます。

事業承継策のひとつにM&Aが挙げられます。これは企業の合併・買収のことで、以前は「経営不振だからM&Aが必要だ」といったマイナスイメージを持たれることが多くありました。しかし近年は、譲渡側企業の雇用が維持されているケースが非常に多く、会社が持つ技術やブランド力を継承できる選択肢として、イメージが向上しています。中⼩企業基盤整備機構の調べでは、成約件数も2018年から2020年までの間に、1万件を超えて推移しています。

M&Aは、譲渡側にとっては雇用や技術の維持、買い手側はそれらをもとにした事業規模の拡大が期待でき、双方においてメリットがある方法として活発化しているのです。

4. 新たな需要の獲得

企業活動を行ううえでは、消費者行動の意識・行動の変化にも目を向けておくことが重要です。最近では、外出自粛など行動制限が敷かれたことで、遠出せず地元で消費する機会が増え、オンラインショッピングを利用する機会も増加しました。

このような変化を好機と捉え、テイクアウト・デリバリーサービスやECサイトを導入したり、地域ブランドの向上に努めたりする企業が増えています。実際、地域ブランドや新サービスの展開に取り組む企業や、オンラインツールを有効活用し顧客との関係づくりに取り組む企業も数多く見受けられます。さらに、地域づくりやSDGsといった近年の動向に対する意識も高まっており、企業の持続的な発展のために重要な取り組みとして捉えられています。

まとめ

社会全体、とりわけ中小企業にとって新型コロナウイルスの影響は計り知れず、財政状況を見据えた今後の経営戦略の立て直しが迫られています。これらの危機を乗り越え、再び成長軌道に戻れるかの瀬戸際といっても過言ではない状況の中、白書では進んだ取り組みを行っている企業を多数紹介しています。先進事例も参考にしながら、今後の経営戦略の策定や新たな視点を取り入れた企業活動に励んでください。

中小事業者困ったときのDX事典

RECENT POST「コラム」の最新記事


2021年版中小企業白書・小規模企業白書をわかりやすくまとめてみた