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地方創生の意味とは? 目標や取り組みをわかりやすく紹介

 2021.09.30  CLOUDIL 【クラウディル】

「地方創生」は、SDGs(持続可能な開発目標)ともしばしば関連づけられる、近年よく耳にするキーワードです。急速に進む人口減少を克服し、地域を活性させるための取り組みですが、具体的な内容についてはピンとこない方も多いかもしれません。そこで、ここでは地方創生の意味、目標、取り組みなどをわかりやすくご説明します。

地方創生とは

「地方創生」は、人口減少を克服し、地域経済を活性化させるための政策です。各自治体がそれぞれの特徴を生かして、政策にイノベーションを創出することも期待されており、民間企業との連携「官民コラボ」を行う事例も増えています。さらに、近年ではSDGsやSociety5.0、スマートシティなどとの関連づけも行われています。

地方創生の定義

「地方創生」という言葉の定義はありませんが、地方創生というキーワードが登場したのは、2014年のことです。

東日本大震災の直後に発足した「日本創成会議」という「震災からの復興を景気とした10年後の世界・アジアを見据えた新しい国づくり」を唱える機関が、「ストップ少子化・地方元気戦略」を提言したことが発端となっています。

過去10年間の国勢調査によって、2040年までに全国の896の市町村が消滅する恐れがあると試算されたこともあり、当時の第二次安倍政権が地方創生に関連する「まち・ひと・しごと創生法」を打ち出しました。

「まち・ひと・しごと創生法」の第1条では、「魅力的な地域社会づくり」「地域社会をになう多様な人材の確保」「地域における就業の機会づくり」を推進することなど、地方創生の目的が明記されています。

「まち・ひと・しごと創生法」とは

少子高齢化や人口減少への対策として制定された「まち・ひと・しごと創生法」は、簡単にいえば「まち」「ひと」「しごと」それぞれに関する施策を一体的に推進するものです。

目的を定めた第1条のほか、第2条では基本理念が定められ、各条で地域創生の総合戦略プロセスが規定されています。まち・ひと・しごと創生本部の本部長は、内閣府の長である内閣総理大臣が務めます。

地方創生が必要とされる背景

地方創生が必要とされる背景には、前述したとおり、急速に進む人口減少があります。パンデミックの影響もありますが、2020年の出生率は1.34で、5年連続で前年を下回る数字です。出生率も、統計史上もっとも低くなっています。

人口減少は70年代から予想されていましたが、これまで抜本的な対策がなされてこなかったことが、現在の深刻な状況を招いたともいえるでしょう。

人口減少はメリットもありますが、一定の人口規模があってはじめて、日々の暮らしを送るための各種サービスが成り立ちます。特に地方はサービスの撤退が早く進むため、人口減少の影響を大きく受けることになるでしょう。そこで、人口減少が定着することを防ぐ必要があるのです。

地方創生の4つの基本目標

深刻な問題をはらむ人口減少を抑えるために、「まち・ひと・しごと創生法」では、4つの基本目標が掲げられています。それぞれのポイントは何か、詳しく見ていきましょう。

地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする

「まち・ひと・しごと創生法」がつくられた2014年の前年、2013年において、東京圏は10代後半~20代の若い世代を中心として転入超過となっています。

つまり、「東京圏に若い世代が集中し過ぎる反面、地方では働く人が少ない」という状況にあるのです。日本の首都圏への人口集中は、イギリス・ロンドン、ドイツ・ベルリン、アメリカ・ニューヨークなどと比べても、非常に高い割合で推移しています。

東京圏に人口が集中するのは、それだけ地方で雇用機会が失われている証拠でもあります。そのため「まち・ひと・しごと創生法」では、地域経済をになう企業の支援、雇用を生み出す地域イノベーションの推進、観光地域づくり、地域の歴史・町並みなどを生かした地域活性化といった取り組みを通して、地方での雇用を増やすことが盛り込まれています。

諸外国と比べても低水準である外国企業の対日直接投資残高を、2014年に発表された18兆円から35兆円へ倍増させることも課題の1つです。

地方への新しいひとの流れをつくる

前述しましたが、年間10万人超が首都圏への転入を行っている反面、地方産業の衰退などの影響もあって、地方での人口減少が止まりません。

パンデミックを機に普及したリモートワークの影響などで地方移住を計画する人の割合も増えてはいますが、移住には雇用、利便性、人間関係などが障壁となり、実践に移す人は限られています。

ただし、リモートワークの普及によって、地方における雇用への不安が減少傾向にあるのは喜ばしいことです。「まち・ひと・しごと創生法」では企業の地方拠点の強化・政府関係機構の地方移転、サテライトオフィス化などを推進しており、今後も地方での一定の雇用確保につながるでしょう。

子どもの農山漁村体験(子ども農山漁村交流プロジェクト)を通して、将来のUターン・Iターンを促すための取り組みも行われています。

地方移住希望者への支援体制の整備も、「まち・ひと・しごと創生法」で定められていることの1つです。

若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える

日本の出生数は第2次ベビーブームを境に減少傾向が続き、前述の通り、パンデミック下では統計史上最低の出生数を記録しました。

パンデミックで出生率が下がるのは不思議ではありませんが、それ以外の原因として、まず若い世代の経済的不安、出産・子育てへの支援不足などが挙げられます。

そのため、若い世代の経済的安定を図る目的で「正社員実現加速プロジェクト」を推進し、派遣労働者の直接雇用を促しています。

妊娠・出産の切れ目ない支援のために、「子育て世代包括支援センター」を整備することも明記、2021年1月から不妊治療の支援事業も拡大されました。

また、第1子出産前後の女性の継続就業率を55%に向上することも「まち・ひと・しごと創生法」のKPIとして定められています。ただし、女性の継続就業については解決すべき課題が多数あります。出産後に復職したとしても、その後に責任ある仕事を任される機会が減ってキャリアから遠ざかり、結果的に離職につながる「マミートラック」や、女性の昇進をはばむ「ガラスの天井」の問題は依然として深刻です。ただ単純に就業率を上げるだけでは解決につながりません。それこそ切れ目のない対策が求められるでしょう。

さらに、女性が第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由としては、2018年度で「育児をしながら仕事を続けるのが大変」「自分の体や胎児を大事にしたいと考えた」などが目立ち、女性に育児負荷が大きく偏っている現状が見られます。そのため、日本創生会も提言する通り、男性の意識改善を啓発することに加えて、長時間労働の是正などを早急に進める必要があります。

時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守る

地方でも将来にわたって利便性の高い暮らしができるようにしなければなりません。そこで、地域における雇用の創出をはじめ、老朽化したインフラの戦略的な維持管理、休校した学校の再開支援、空き家対策などを行うことも「まち・ひと・しごと創生法」に明記されています。

また、集落地域における「小さな拠点」も提唱されています。これは、分散しているサービスの場を交通ネットワークで結ぶことで、単一の団体や集落では維持が難しいサービスを維持し、集落同士が足りないものを補うという仕組みです。

それらと並行して、団塊の世代が後期高齢者となり、介護・医療費などの急増が予測される「2025年問題」に備えた、大都市圏における医療・介護問題への対応も急務でしょう。介護現場などで外国人技能実習生を募集する取り組みも行われていますが、技能実習生は人権が守られていないとの国際的な批判も多く、問題は山積みです。今後も、この分野においては特に政府の動向を注視する必要があるでしょう。

地方創生の取り組み事例

続いて、具体的な地方創生の取り組み事例について解説します。

Uターン起業者への支援

地方でのUターン起業者への支援として「地方創生推進交付金」という制度があります。ローカルイノベーション、観光振興、地方移住・人材育成、働き改革など、自治体の自主的・主体的、先導的な取り組みを支援する事業に対して交付される支援金です。

例えば、岐阜県・美濃市の「美濃和紙ブランドの価値向上・発信事業」では、官民が連携して、国内外の見本市で美濃和紙のブランドコンセプトの広報を行いながら、後継者の育成などを実践しています。

自治体SDGs

SDGs(持続可能な開発目標)は、「誰一人として取り残さない」世界の実現につなげるため国連本部で採択された17の目標のことです。先進国を含めた国際社会が2030年を期限として、経済・社会・環境に関する課題に取り組むための目標として設定されました。

地方創生で「持続可能なまち」をつくることは、SDGsの達成にも寄与するため、自治体でSDGsをふまえた取り組みが推進されています。その先進的なモデルとして、大阪府堺市、奈良県十津川村、北海道札幌市、長野県、山口県宇部市など、29の自治体が「SDGs未来都市」として選定されました。

存続が危ぶまれる市町村として名前が挙げられた、熊野古道の通る奈良県十津川村を例に取りましょう。

ここでは、観光業と林業を中心に経済的に自立し、美しい十津川の「秘境」を、防災面での調和をはかりながら維持していくことが目標に掲げられています。林業の振興施策によって増加する林業従事者などの定住希望者と住居不足のミスマッチを改善し、少ない労力で災害に強い森づくりをすることも目標です。十津川村の暮らしに魅力を感じる人を積極的に迎え、次世代につないでいきます。

まとめ

地方創生は深刻な人口減少に歯止めをかけ、地方から日本全体を活性化させるための取り組みです。依然として解決が難しい問題もありますが、官民が役割分担を行い、SDGsなどとも関連づけながら粘り強く対策を続けることで、おのずと解決の道が見えてくるでしょう。雇用や医療、福祉などが充実した、将来にわたって安心して住み続けられる魅力的な地方が増えれば、それだけ一人ひとりの暮らしやすさも向上していくはずです。


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