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デジタルトランスフォーメーションの課題とは|中小企業の現状と解決策

 2021.10.31  CLOUDIL 【クラウディル】

デジタルトランスフォーメーション(DX)は単なるデジタル化ではなく、企業を抜本的に変革する取り組みです。大企業だけでなく中小企業にも必要な取り組みですが、まだまだ進んでいるとは言えません。本記事では、中小企業のDXの現状や課題、解決策について詳しく解説します。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、単なるデジタル化ではなく、本来は「IT技術の浸透によって人々の生活がより良い方向に変化するという考え方」を指します。やや抽象的な定義ですが、ビジネスにおいては「ITやテクノロジーを使って業務のやり方や組織、ビジネスモデルなどを変革することで、企業の生産性を上げる取り組み」との定義づけが一般的です。これらを踏まえると、DXの推進が抜本的な改革につながるとは限らない単なるデジタル化ではなく、変化が激しい時代でも生き残れる競争力の強化や収益性の向上、顧客体験の向上などのメリットを生み出す革新的なニュアンスを含んでいることがわかります。

中小企業におけるデジタルトランスフォーメーションの現状

DXの取り組みについて、大企業と中小企業では状況が異なっています。総務省の調査によると、大企業の42.3%が「実施している」と回答しているのに対して、中小企業では13.8%と圧倒的に少ないことが分かります。中小企業の数が多いことを差し引いても、中小企業ではデジタルトランスフォーメーションが進んでいないと考えられます。

参照:総務省「令和3年版 情報通信白書 第1部第2節企業活動におけるデジタルトランスフォーメーションの現状と課題」

中小企業でもデジタルトランスフォーメーションは必要

経済産業省のレポートでも言及されている「2025年の壁」では、日本の多くの企業が抱えている既存ITシステムの課題を克服しないと2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘されています。古いシステムの維持には、機能に見合わない莫大なコストがかかってしまうことを暗に示しています。

これは大企業だけでなく中小企業にも当てはまる問題であり、既存システムの維持にコストを割いて本来的なビジネス活動に支障をきたす可能性が高くなります。コストを理由にしたビジネスチャンスの喪失を避けるためにも、中小企業でも、デジタル技術発展の波に乗ってビジネスモデルや業務フローを変革するDXが求められています。

デジタルトランスフォーメーションを導入するにあたっての課題

DXの導入は決して簡単ではなく、乗り越えなければならない課題もあります。ここでは3つの課題に分けて解説します。

IT予算の活用ができていない

DXは小手先ではなく抜本的な変革を行うため、まとまった予算やリソースの投入が欠かせません。しかし、多くの企業では短期的な観点でシステム改修を繰り返した結果、長期的に保守・運用費が高騰する「技術的負債」がかさんでおり、中長期的かつ戦略的な投資としてIT予算を有効活用できない状況に陥っています。そのため、まずはDXに向けて「技術的負債」を解消し、IT予算を攻めの「投資」として活用できる状態にする必要があります。

IT人材が不足している

IT人材の不足も大きな課題です。経済産業省が公表しているレポートでは、2018年時点でIT人材は需要に対して22万人の不足、2025年には36万人、最大で58万人もの不足が予測されています。また、日本においてはIT人材のうち7割以上がツールベンダーを提供する企業に属しており、ユーザー企業におけるIT人材の確保や育成が喫緊の課題となっています。

参照:みずほ情報総研株式会社「平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(経済産業省委託事業)」

経営戦略が立てられていない

デジタルトランスフォーメーションは、中長期的なスパンでビジネス変革に取り組みます。その活動には指針となる経営戦略が欠かせません。従来では考えられないようなスピードで次から次へと新しいデジタル技術が登場するなかで、ビジョン・ミッションによってデジタル技術を活用する方向性を定めなければ、適切なDXの推進は不可能です。現在は、多くの企業がDXの必要性を認識するだけで、自社の経営戦略に沿った具体的な検討が欠けている状態にあると言えます。

中小企業でデジタルトランスフォーメーションを行うには

DXへの課題も踏まえ、中小企業でDXを行うために必要なことを解説していきます。

経営陣が率先して取り組む

DXは特定の部署や職種にとどまらず、全社的な取り組みが必要ですから、経営陣が経営戦略やビジョンを提示して社内全体を巻き込む必要があります。その中でも特に経営陣がDXにおいて求められるのは、デジタル技術を単に利用することではなく、デジタル技術を通じてどんな価値を生み出し、社会や顧客に提供していくかを明確にすることです。社会や顧客に還元する価値を明確にできれば、単なるデジタル化にとどまらず、デジタル技術を活用したビジネスモデルの改革に発展させられます。必要に応じてDX推進の専任チームを組成するなど取り組みを強化しながら、経営陣が率先してDXに取り組むと成功する可能性も高くなるでしょう。

アウトソーシングを行う

DXは全社横断的な取り組みであり、対象範囲も広く負担が大きいと言えます。IT人材不足の課題もあるなか、必要なリソースを自前で賄う方法は現実的ではありません。データ分析やデザイン、インフラ整備など企業によってDXを推進する領域が異なりますし、その領域を専門に管轄する部署がないケースも考えられます。そのため、アウトソーシングが必要な領域を見極めて、外部の専門性が高いパートナーと協力しながらDXを推進する方法も有効な解決策のひとつです。

システムを4つに分けて刷新する

短期的な改修を重ねたシステムは古いアーキテクチャのまま肥大化を繰り返しているため、システムの刷新には膨大な手間と時間がかかります。そこで、4つの領域に分けて刷新を進める手法が効果的です。

具体的には、企業が持っている情報資産の現状を「機能分割・刷新」「機能追加」「機能縮小・廃棄」「現状維持」の4つに仕分けして分析・評価を行います。この4パターンに整理したうえで、どの領域からシステム刷新を行うのか、段階的かつ戦略的に推進する必要があります。再構築すべきか、機能追加にとどめるべきか、あるいはそのまま維持するか、整理していくことでリソースを集中すべき部分を浮き彫りにできます。

スモールスタートで行う

DXというと大がかりな取り組みをイメージするかもしれませんが、最初から莫大なコストをかけて全体に導入する必要はありません。小さいところから、つまり日々の業務からIoT化を行うなど、スモールスタートで行う段階的な改革こそがDXの成功に向けた正しいプロセスです。
デジタルに抵抗のあるメンバーが在籍している場合もありますが、スモールスタートで少しずつ成功例を積み重ねると現場からの抵抗感を減らせます。また、DXがなかなか思うように進まない場合でも原因把握や軌道修正がしやすくなるなど、スモールスタートにはメリットが数多くあります。

補助制度を利用する

DX推進において予算がハードルになる場合は、補助制度の活用を検討するとよいでしょう。政府・自治体としても企業のDX推進を後押ししており、その具体的施策として「IT導入補助金2021」などの各種補助金や補助制度があります。補助を受けられる条件を確認する必要はありますが、補助制度を活用することで予算の課題を解消できる可能性があります。

まとめ

単なるデジタル化にとどまらず、デジタル技術で新しいビジネスモデルの構築や既存ビジネスモデルを刷新する取り組みがDXです。そのため、組織全体で中長期的な取り組みが求められます。

レガシーシステムが負債化する「2025年の壁」は大企業だけでなく中小企業にも当てはまる問題であり、中小企業でもDXの推進が必要です。しかし、大企業と比較して中小企業でのDXの取り組みはあまり進んでいないのが現状です。予算や人材、経営戦略といった課題がありますが、経営層のコミットメントに加えスモールスタートや段階的な取り組み、アウトソーシングも活用しながら効率的に推進していきたいところです。

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