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【事例あり】製造業におけるデジタルトランスフォーメーションとは

 2021.11.21  CLOUDIL 【クラウディル】

近年、製造分野に携わる多くの企業において、「デジタルトランスフォーメーション」の実現が喫緊の経営課題となっています。そこで本記事では、製造業におけるデジタルトランスフォーメーションについて詳しく解説します。具体的な企業事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

「DX」とは「Digital Transformation」の略称で、デジタル技術の活用によって組織体制そのものを変革し、市場における競争優位性の確立を目指す取り組みです。厚生労働省の調査によると、日本は他国と比較して少子高齢化が急速に進展しており、2008年の1億2,808万人をピークに総人口は下降の一途を辿っています。

また、1992年の69.8%をピークに生産年齢人口も下降し続けているため、このままでは経済規模の縮小や国際競争力の低下、医療・介護費の増大など、さまざまな社会問題が深刻化すると予測されます。このような事態を打破すべく、AIやIoTといった最先端テクノロジーを活用し、経営体制やビジネスモデルそのものに変革をもたらすために、デジタルトランスフォーメーションの実現が急務となっているのです。

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製造業におけるデジタルトランスフォーメーション

さまざまな産業で重要課題となっているデジタルトランスフォーメーションですが、とりわけ強くその実現を求められているのが製造業です。経済産業省の調査によると、ものづくりに携わる中小企業の42.8%が、「人材育成・能力開発が進まない」ことを深刻な経営課題として挙げています。次いで多かったのが「人手不足(42.2%)」であり、製造現場において人材不足がいかに深刻な問題かが見て取れるでしょう。

このような課題を抱えている製造業に変革をもたらすとして、注目を集めているのがデジタルトランスフォーメーションです。とくに製造現場の領域で求められているのは、以下の3つです。デジタル技術の活用によってこれらを実現することが、製造業におけるデジタルトランスフォーメーションといえるでしょう。

  • 属人化の排除
  • 製造工程でAIを活用
  • 付加価値の創出

属人化の排除

製造現場では高度な技術と深い知識が求められる業務が多く、熟練工のノウハウに依存しがちな傾向にあります。しかし、製造業は就業者の高齢化が進む一方、若年層の入職者が減少傾向にあるため、熟練工のもつノウハウの継承が困難になりつつある業界です。したがって、いかにして熟練工のもつ暗黙知を形式知へと変換し、業務プロセスの属人化を排除するかが重要な課題といえます。

そこで必要とされているのが、「スマートファクトリー」の実現です。スマートファクトリーとは、工作機械や電子機器などの生産設備とAI・IoTがネットワーク接続された、次世代型の生産施設を指します。スマートファクトリーが実現できれば、AIやIoTが工場内のあらゆるデータを収集・分析し、ノウハウのデジタル化や製造ラインの省人化・自動化が可能になるため、人材不足や後継者不足を解決する一助となります。

製造工程でAIを活用

製造業は人材不足や就業者の高齢化など、さまざまな課題を抱えている反面、革新的な飛躍が期待されている業界でもあります。その理由として挙げられるのが、AIやIoTによる技術革新「第4次産業革命」の実現です。現在は第4次産業革命の過渡期といわれており、製造現場でAIやIoTなどの最先端テクノロジーが普及しつつあります。

たとえば、AIの技術を製造現場に導入することで、機械学習やディープラーニングを用いた設備保全や製品の検品が可能になります。従来、このような設備保全や検品業務などは、熟練工の高度な知見が求められる属人的な業務でした。これにAIを用いることで、人間とは比較にならない高精度な検品・検査や、異常検知のオートメーション化が実現します。

付加価値の創出

製造業におけるデジタルトランスフォーメーションとは、AIやIoTの活用によるスマートファクトリーの実現であるとも言い換えられます。工場のスマート化によって効率的な生産体制を構築できれば、製品の品質向上やコストの削減が期待できるため、人材不足を補いつつ、より多くの付加価値を創出可能です。

また、AIのディープラーニングや統計解析などを用いることで、ビッグデータ分析が可能となり、膨大な情報に基づく高精度な需要予測や市場分析が実現します。データ分析に基づくロジカルな戦略立案が可能になるため、顧客の潜在需要を捉えた製品開発やアフターサービスの充実など、さらなる付加価値の提供につながるでしょう。

製造業のデジタルトランスフォーメーション事例5選

ここからは、製造業におけるデジタルトランスフォーメーションの企業事例を5つご紹介します。

計器のIoT化で遠隔監視の実現&新規市場の開拓

制御機器の老舗メーカーである木幡計器製作所では、市場の飽和を視野に入れ、新たな付加価値の提供を模索していました。そこで同社が取り組んだのが、遠隔地からの監視が可能なIoT圧力計の開発です。そして、従来の圧力計に無線式のデバイスを搭載し、計測結果をサーバーに自動送信するシステムを開発した結果、計器点検作業の省人化・省力化に成功しました。安定的な需要を誇る老舗メーカーでありながら、一歩先を見据えたデジタル戦略に取り組む先見性が生んだ成功といえます。

AI活用による効率改善&データの電子化によるデータ利活用

取引先や経済環境の変化により業績不振に陥っていた株式会社IBUKIは、AI技術を活用し、属人的な業務プロセスの自動化に取り組みました。一例を挙げると、熟練工の知識や判断をデジタルデータとして蓄積し、AI検索エンジンがそれらを学習することで、受発注業務の効率化・省人化に成功しています。職人文化が色濃く残る製造現場において、デジタル化を推進した経営判断が成功のポイントといえるでしょう。

工場の連携により高付加価値の製品を製造

プレス加工メーカーの株式会社ウチダ製作所は、大手メーカーに需要が集中している高難易度プレス金型の製作事業に乗り出す必要性を感じていました。そこで同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を活用して、地域メーカーと連携する「つながる工場」を構築します。その結果、大手メーカーの独壇場であった高難易度プレス金型の受注に成功しました。デジタル技術を活用して工場同士の連携を図るという、俯瞰的な視点による柔軟な発想が生んだ成果といえます。

工場内にセンサーを設置してサプライチェーンの最適化

ダイキン工業株式会社では、市場競争力の強化を目的として、製造コスト削減やサプライチェーンの最適化が求められていました。そこで同社は、工場内のあらゆる生産設備とIoTをネットワーク接続し、リアルタイムでデータを収集・分析することで、製造ラインの最適化に成功します。工場のスマート化により製造ラインを見える化し、定量的なデータ分析に基づく生産体制を構築した点が重要なポイントといえるでしょう。

見積もりと発注の自動化で時間短縮

機械工具卸に携わるトラスコ中山株式会社は、既存システムの保守切れに伴って、ERPを刷新する必要性に迫られていました。そこで同社は、「業務自動化」というコンセプトのもとで業務変革に取り組み、AIによる自動見積もりシステムを導入します。これにより、従来は数時間~1日程度の時間を要していた見積もり業務が、AIによって数秒で完結する環境の構築に成功しました。ERPシステムの刷新を契機として、大胆なIT投資と業務変革の実行が生んだ成果といえます。

中小企業でデジタルトランスフォーメーションを進めるために

デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、デジタル技術の活用が不可欠であり、ITインフラを構築するために相応の投資が必要です。それゆえ自社の企業理念や経営ビジョンに基づき、IT投資を実行する目的を明確にしなくてはなりません。まずは全社的な視点から経営課題を認識し、全体最適の方針を踏まえたうえで、優先順位を設定して段階的に取り組む必要があります。

自社の目的に沿ったソリューションを選定するためには、システムの能力を正しく理解する高度な知見が必要です。また、どのようなソリューションが自社に適しているかは、経営課題や事業形態、システム環境によっても大きく異なります。まずは製造現場レベルからAIやIoTなどのソリューションを導入し、得られたデータに基づいて徐々に全体最適を検討していきましょう。

まとめ

ドイツ政府主導のもとでインダストリー4.0が提唱され、製造業は今、大きな転換期を迎えています。変化の加速する現代市場のなかで、製造業に携わる企業が市場での競争優位性を確立するためには、AIやIoTといった最先端テクノロジーの活用が不可欠です。ぜひ、本記事を参考にしてデジタルトランスフォーメーションの実現に取り組んでみてください。

中小事業者困ったときのDX事典

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