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インボイス制度とは?内容についてわかりやすく解説

 2022.04.21  CLOUDIL 【クラウディル】

2023年から新たに「インボイス制度」がスタートします。本記事ではそもそもどのような制度であるのかと導入される理由、また今後企業に与える影響、備えるための対策について解説します。制度開始とともにスムーズに対応できるように、あらかじめ理解を深めておいてください。

インボイス制度とは?

2023年10月からスタートする「インボイス制度」は、従来の請求書を改め、新たに消費税に関する情報を加えた「適格請求書保存方式」のことを指します。ちなみに経過措置として開始から6年間は、免税事業者との取引に対する仕入税額相当額を一定の割合で控除できます。経過措置が終了し、完全に移行するのは2029年10月からとなります。

「適格請求書」とは、売り手(請求書の発行者)が「どの商品・サービスが、どの税率(8%・10%)を適用しているか」を買い手に知らせるための書類です。適格請求書では記載事項が決められており、それに則ったかたちで請求書や領収書などを発行しなければなりません。なお、適格請求書を発行するためには「適格請求書発行事業者」として登録しておく必要があります。

この制度によって、適格請求書発行事業者に該当しない企業・個人事業主との取引においては、仕入税額控除が適用されなくなってしまいます。そうすると、自社の納める消費税額が増えてしまうため注意が必要です。

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インボイス制度導入の理由

制度が導入された理由として、2019年から軽減税率が始まったことが挙げられます。現在、多くの商品・サービスに適用する消費税10%と、食品や新聞などの8%が混ざった状態となっており、従来の請求書だと把握しにくくなっているのです。そのため、商品・サービスと消費税率、消費税額を記載するように定めることで、税率を分かりやすく区分できます。また、請求書の記載事項を決めておくことで、消費税率や税額を正しく把握でき、会計上の不正やミスを防ぐことができると考えられています。

区分記載請求書とインボイス制度の違い

現在、一般的に使われている請求書は「区分記載請求書」と呼ばれる種類のものです。ここでは区分記載請求書と、新たに採用される適格請求書の違いについて説明します。

請求書の記載内容の違い

区分記載請求書は、2019年に軽減税率が実施されてからインボイス制度が始まるまでの間で採用されているものです。記載事項は「①請求書発行者の氏名・名称」「②取引年月日」「③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)」「④税率ごとに区分した税込対価の額」、そして「⑤書類を受け取る側の事業者氏名または名称」となっています。

一方、適格請求書は②・③は同じで、「①適格請求書発行者の氏名または名称、登録番号」「④税率ごとに区分して合計した税込対価の額と適用税率」「⑤税率ごとに区分した消費税額」、そして「⑥書類を受け取る側の事業者氏名または名称」が必要となります。

大きく異なるのは、適格請求書発行事業者であることを示す「登録番号」の記載が必要になることと適用税率を明記すること、加えて8%・10%に分けた消費税額を別途記載する必要があることです。

請求書発行者の違い

これまでは課税事業者も、そして課税売上高が1,000万円未満の免税事業者であっても「区分記載請求書」を発行することが可能でした。しかしインボイス制度が始まると、新たな方式の「適格請求書」を発行できるのは課税事業者かつ適格請求書発行事業者のみとなります。

ただ、課税事業者だからといって、自動的に適格請求書発行事業者になれるわけではありません。該当する企業は所定の申請を行い請求書が発行できる事業者として登録しておく必要があります。一方、免税事業者は適格請求書を発行できません。あらかじめ課税事業者に変更した上で、さらに適格請求書の発行者として申請・登録する必要があります。

インボイス制度が企業に与える影響

ここでは、今後企業にどのような影響が出るのかについて解説します。

請求書の記載内容の変更

企業は、新たに請求書のフォーマットを準備する必要があります。具体的に、改訂する際は適格請求書発行事業者を示す「T +法人番号」あるいは「T +13桁の数字」の登録番号と、適用税率ならびに税率ごとの消費税額を記載する欄を設けます。

経理事務が複雑になる

適格請求書を取り扱うことにより、これまで以上に経理事務が複雑化することが考えられます。具体的に、取引先に適格請求書を発行できない免税事業者がいた場合、申告する消費税額を計算する際に、免税事業者と課税事業者に分ける必要が出てきます。

また、税額の計算方法も変わります。売上税額を「積上げ計算」で算出した場合においては、仕入税額も「積上げ計算」で計算しなければなりません。一方、売上税額の計算方法として、原則の「割戻し計算」を選択した場合は、仕入税額の計算は「積上げ計算」か「割戻し計算」かのどちらかを選ぶことができます。

このように、単に請求書の様式や記載事項が変わるだけでなく、最終的な消費税納付額の計算などにも大きく影響します。
(参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf< p4>)

仕入税額控除が免除にならない可能性がある

課税事業者である企業からみると、適格請求書の発行ができない免税事業者と取引すると、基本的にその分納める消費税額が増えることとなります。なぜなら、免税事業者は仕入税額控除の対象にならないからです。そのため、課税事業者にとっては、適格請求書を発行できる事業者を選定し直す必要性が出てきます。

また免税事業者である企業・個人事業主は、適格請求書が発行できないことで課税事業者から契約してもらえなくなったり、取引金額が変更となったりする可能性が考えられます。

消費税の申告義務が生じる可能性がある

免税事業者のなかには、「課税事業者と円滑に取引できるように適格請求書を発行したい」と考える人もいるでしょう。その場合は、税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となった上で、適格請求書発行事業者となる手続きを進めます。

これは、適格請求書が発行できる事業者となれる一方、課税売上高が1,000万円未満であっても、これまで免除されていた消費税の納税義務が発生します。事業者によっては、かえって経営が苦しくなってしまうリスクもあるでしょう。今までに課税事業者との取引が多い免税事業者にとってはメリットがあるものの、売上や取引の状況を踏まえた上で慎重に判断する必要があります。

インボイス制度に備えて行っておくべき対策

企業は、2023年10月からの制度開始に備えて、どのような対策を講じておくべきでしょうか。ここでは、適格請求書発行事業者の手続きや導入しておいた方がよいツールをまとめました。

施行開始までに手続きをしておく

インボイス制度がスタートする2023年10月と同時に適格請求書を発行するためには、2023年3月31日までに納税地を管轄する「インボイス登録センター」に登録申請書を提出する必要があります。申請してからすぐに適格請求書の発行ができるようになるわけではないので、余裕を持って手続きを行いましょう。また、2023年4月1日以降に登録申請を行う場合は、登録申請に加えて、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。

クラウドサービスの利用

クラウドサービスを使うと、複雑になると予想される経理事務を自動化することができます。また、インボイス制度に関わる申請書を電子化して保存したり、データを即座に検索・抽出したりすることが可能となります。クラウドサービスによっては、適格請求書の「登録番号」を事前に設定できるようにするなど、インボイス制度にマッチした機能を備えているものもあります。

ぜひ自社の経理事務に適したクラウドサービスを選定して、インボイス制度開始後もスムーズに請求書の処理ができるように準備を進めておきましょう。

まとめ

インボイス制度は、2023年10月からスタートし、新たに消費税に関する情報を加えた「適格請求書」を発行するための仕組みです。導入した背景には2019年から実施されている軽減税率制度があり、適格請求書では取引を行った商品・サービスの適用税率と消費税額をきちんと明記しなければなりません。また、適格請求書を発行するためには、事前に申請して「適格請求書発行事業者」となっておく必要があります。

企業は制度がスタートすることで、経理事務が複雑化することが予想されます。事前申請などの手続きだけでなく、社内の業務が進めやすくなるようにクラウドサービスなどを積極的に取り入れることも検討してみてはいかがでしょうか。

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