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働き方改革とは?中小企業の事例と法改正の内容について

 2021.11.19  CLOUDIL 【クラウディル】

少子高齢化による人口減などの対策として、厚生労働省は「働き方改革」の推進を掲げています。しかし、この働き方改革とは具体的にどのような取り組みを意味するのでしょうか。そこで本記事では、働き方改革の概要や中小企業における具体的な取り組み事例、また働き方改革に関連した法改正の内容についてご紹介します。

働き方改革とは

そもそも働き方改革とは、労働者がそれぞれの事情に応じて多様で柔軟な働き方を自分で選べるようにするための改革を意味します。働き方改革は、少子高齢化による生産年齢人口の減少や労働者のニーズの多様化に対応するための施策として、厚生労働省が近年推奨しています。

フレックスタイム制やテレワークなどを導入し、就業時間や就業場所などに選択肢を与えることで、育児や介護、障がいなどの事情を抱えた労働者も就業を継続しやすくなるでしょう。また、こうした施策は労働者の「ワーク・ライフ・バランス」を整え、生活の質を向上させることも期待できます。このように多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、労働者一人ひとりがより多くの可能性、より良い将来の展望を持てるようにすることが働き方改革の目的です。

長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現

働き方改革の目的とは、一言で言えば、労働者が働きやすい環境を整備することです。そのための施策として、長時間労働の是正をはじめとする労働時間に関する制度の見直しが挙げられます。具体的には、勤務間インターバル制度の普及・促進などです。

勤務間インターバル制度とは、終業後から翌日の始業までのあいだに一定のインターバル(休息時間)を設ける制度です。国が推奨するインターバル時間としては9~11時間程度と言われています。過労死など労働者の過重労働問題を抑制することがこの制度の主な導入目的です。健全な就労環境を確保するという意味では、産業医・産業保健機能の強化などもポイントになるでしょう。

また、業務効率化も長時間労働をなくすための一手段です。短い時間でより大きな生産力を発揮できる体制を構築できれば、企業は従業員の長時間労働を解消しつつ、自社の業績を維持することが可能になります。従業員は業務効率化によって空いた時間を他の重要な業務にあてたり、プライベートを充実させたり、自身のスキルアップに費やすことができます。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

多様な働き方の実現を目指す働き方改革においては、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保も重要な課題です。昨今の日本は非正規雇用労働者が多くなっていますが、そうした従業員と正社員のあいだで不合理な待遇格差が生じるのは多様性社会において望ましくありません。

賃金の面で言えば、「同一労働同一賃金」が原則です。同じ量・同じ内容の仕事をこなしているのに深刻な待遇差が生じているようでは、公正な扱いとは言えません。賃金以外でも、例えばコロナ禍において「派遣社員だけテレワークが認められない」などの問題が噴出しました。

働き方改革では、そうした不当な待遇差を解消するための規定の整備が重要です。あるいは、そうした待遇差に疑問や不満を持つ労働者に対して合理的な説明が行えるよう、労働者への説明義務の強化などに取り組む必要もあります。行政側の動きとしては、履行確保措置及び裁判外紛争解決手続きの整備などを通して、待遇格差の解消を目指す取り組みが進んでいます。

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中小企業における働き方改革の事例

働き方改革は、実際にどのように進められているのでしょうか。ここからは、ユニークなアイデアで働き方改革を実現した、中小企業の具体的な事例を見ていきます。

介護事業のクラウドサービスで年間300万円のコスト減に成功


介護サービス事業を手掛ける株式会社Aは、介護業務に役立つクラウドサービスを自社開発することで、年間300万円のコスト減に成功しました。

同社の調査では、1~2時間の残業時間のうち、約1時間を介護記録などの書き物にあてている従業員が多いという結果が出ていました。これは年間換算すれば、約5,400時間もの残業時間にあたります。そこで同社は紙ベースで従来行われていた記録業務をクラウドシステムによって電子化。記入を楽にする仕様にしたり、音声入力に対応させたりして、記録作業の効率化に取り組みました。

その結果、記録業務にかかる時間は85%も削減され、年間300万円ものコスト削減を達成しました。このシステムはそのほかにも、細かい業務のリマインド機能や、オンライン面会ができる機能なども実装されており、介護現場の業務負担軽減に寄与しています。

社長が自ら取り組み不動産業で週休3日・営業利益2.5倍を達成

不動産会社Bは、社長が自ら働き方改革に取り組み、週休3日制の導入や営業利益を2.5倍にすることに成功しました。

同社は従来、ベテラン社員による業務の属人化や生産性の低さが課題になっていました。そこで同社は、業務プロセスの標準化・定量化・業務の仕組み化のためにクラウドCRM(顧客関係管理)の基盤整備に着手しました。社長自ら全ての業務を行って業務標準をつくりながら、粘り強く業務改善に取り組んだのです。

その結果、同社はブラックボックス化していた業務の可視化と効率化に成功。前述のように、日本の不動産業界で唯一週休3日を実現したほか、1人あたりの営業利益は2.5倍の水準にアップしました。さらに経費を40%削減、離職率も3%まで引き下げるなど、劇的な成果を上げています。

SFAを取り入れビッグデータを活用することで売上2倍に

企業向けに作業服などの提供を行う株式会社Cは、SFA(営業支援システム)を導入し、ビッグデータを活用することで売上倍増に成功しました。

同社はリーマンショックや東日本大震災などの影響を受け、一時は深刻な経営危機に直面していました。そこで属人化した組織と営業手法から脱却するために、営業支援システムSFAを導入し、営業日報の入力作業簡略化や営業情報の蓄積を図りました。

その後、同社はSFAに集積したデータをビッグデータとして分析することで、売上構成や受注・失注の傾向を把握。さらに行動分析によって、営業活動における課題を可視化して解決に当たりました。その結果、同社の売上は9年で2倍もアップしました。

営業×クラウドで効率化とリモートワークを実現

住宅産業を営む株式会社Dは、積極的にICTを活用してデジタルシフトすることで業務の効率化、およびリモートワークを実現しました。

地方を中心に住宅を販売する同社にとって、人口減少問題は住宅着工戸数の減少と言いう形で既に差し迫った課題となっています。そこで、ICTを活用した業務改善に着手。CRMやMA(マーケティングオートメーション)などのツールを活用したり、紙媒体広告をデジタルシフトしたりなど、営業プロセスの最適化やタスクの自動化に取り組みました。

その結果、同社の業績は劇的に向上。前年比で営業反響数は143%、商談数は173%、そして成約数は152%と着実な成果を上げました。また、同社はこれらのICT活用をクラウド基盤で構築していたため、コロナ禍においてもスムーズにリモートワークを導入することができました。

各種ツールを導入し在宅勤務を可能に。クラウドのコンサルティング事業も

税理士法人Eは、クラウドシステムを積極的に活用することで業務の効率化を図ると共に、オンラインによるコンサルティング事業を展開することに成功しました。

同法人は、税理士業界全体の高齢化が進む中にあって日本一の会計事務所を目指すべく、働き方改革に取り組んでいます。法人内外のコミュニケーションを活性化するべく、チャットなどのコミュニケーションツールを積極的に活用。あわせて従業員のコミュニケーション能力を高めるための社内研修や、バックオフィス業務のペーパーレス化を実施しました。

その結果、同法人は業務時間を削減し、コロナ禍においても従業員全員の在宅勤務が可能な体制を構築することに成功。また、完全なオンラインによる税理士サービスを展開することで、全国からの集客も実現しました。

働き方改革実現に向けて法改正も進んでいる

働き方改革の実現に向けて、国も積極的に労働基準法などにおける労働時間法制の整備を進めています。主要な法改正は以下の5つです。

  1. フレックスタイム制の拡充
  2. 時間外労働の上限規制
  3. 年5日の年次有給休暇の確実な取得
  4. 高度プロフェッショナル制度の創設
  5. 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引き上げ

1. フレックスタイム制の拡充

子育てや介護といった生活上のニーズに合わせて柔軟な働き方が可能になるよう、労働時間の清算期間を従来の1ヶ月から3ヶ月に延長し、フレックスタイム制を拡充しました。これによって3ヶ月内で労働時間を調整できるので、例えば6月・7月に多く働くことで、子供の夏休みに合わせて8月は労働時間を短くするなどの調整が可能になります。

2. 時間外労働の上限規制

これまで法律的な上限規制がされていなかった残業時間を、原則的に月45時間、年360時間にするように規定しました。

3. 年5日の年次有給休暇の確実な取得

従来の年休取得率の低さを鑑みて、これまで労働者の自由意思に委ねられていた年休を、年5日は確実に取得させるように企業に義務付けました。

4. 高度プロフェッショナル制度の創設

法改正により高度プロフェッショナル制度を新設しています。この制度は、高度な専門知識を有する人材を労働基準法に定められた労働時間などの規定に縛られずに、自由に働かせることができる制度です。企業に搾取されないよう、この制度を導入するには一定の年収要件や健康福祉確保措置などを講じることが義務付けられており、むしろ労働者側が自由度の高い働き方ができるような制度設計になっています。

5. 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引き上げ

従来、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率は大企業が50%、中小企業が25%でした。法改正後は、この割増率が中小企業においても50%に引き上げられます。この法改正は、2023年4月から適用されます。

まとめ

働き方改革とは、労働者が個々のニーズに合わせて多様な働き方ができるようにする施策のことです。今後、少子高齢化が深刻化する中、できるだけ多くの人材に就労の機会を与えるために重要視されています。

働き方改革の目的としては、主に長時間労働の是正や業務効率の改善が挙げられます。これらを実現するには、本記事で紹介した中小企業の取り組み例にみられるように、ICTの活用がカギとなるでしょう。

労働者の健康や権利を守り、働き方改革を実現するため、政府も現在労働時間などに関する規定を中心に法改正を進めています。健全かつ持続可能な経営を実現するためには、中小企業も積極的に働き方改革を進めていくことが今後求められます。

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