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事業承継計画書が必要な理由とは? 書き方や最適なタイミングについて解説

 2021.10.06  CLOUDIL 【クラウディル】

引退するときには事業承継計画書を作成しなければならないと考えている企業経営者の方は多いでしょう。しかし、「自分はまだまだ現役で頑張れる」「どうやって作成すればいいのかわからない」などの理由で、先延ばしにしている方もいるのではないでしょうか。この記事では、事業承継計画書の必要性や書き方を紹介します。

そもそも「事業承継計画書」とは

事業承継計画書とは、事業を承継するための計画書のことです。会社などの事業を承継することは、「資産」を遺産相続させることほど簡単ではありません。一度にすべてを後継者へ丸投げしてはうまくいくはずもなく、計画的に引き継いでいくことが大切です。これまで築き上げてきた会社の信用やブランド、技術を引き継がせ、発展させるためには、「いつ、何を」承継するのかを深く考える必要があります。その計画をまとめたものが事業承継計画書です。

事業承継計画書が必要な理由

では、なぜ事業承継計画書が必要なのでしょうか。ここからは、事業承継の際に計画書を作成すべき3つの理由をお伝えします。

現経営者と後継者の認識を合わせるため

事業承継をスムーズに進めるためには、現経営者と後継者とが密にコミュニケーションをとり、会社の現状と将来について、共通認識を持つことが大切です。承継したあとの経営の方向性が明確になることで、従業員や外部関係者の理解も得られやすくなります。事業承継計画書の策定は、現経営者と後継者が、事業の将来や事業承継について、認識をすり合わせるきっかけやツールとして利用できます。

親族内で揉めるのを防ぐため

役員や従業員などに事業承継をしたり、M&Aという方法をとったりする経営者も増えていますが、親族内承継を望む経営者やその親族も少なくありません。親族へ承継する場合、経営者としての教育や取引先への周知などに時間をかけられるというメリットがあります。

その一方で、親族内承継となると、後継者争いなどのトラブルを引き起こす可能性があります。ひとりの後継者だけでなく、広く親族から意見を集め、合意事項を事業承継計画書に盛り込むことで、承継後に親族内から不満が発生しづらくなります。

事業承継税制を使えるようにするため

親族内承継は、相続や生前贈与という方法で行われることが多いですが、それには相続税や贈与税などの税金がかかります。そのような中小企業の事業承継において税負担を軽くできる制度が、「事業承継税制(特例措置)」です。

この制度を利用するためには、承継する企業が中小企業であったり、後継者が役員に就任して3年以上経つ必要があったりと、一定の条件があり、それらを満たしていると明示できるのが事業承継計画書です。税負担を軽くしたい場合は、事業承継計画書の作成が不可欠でしょう。

事業承継計画書はいつ作成する?

事業承継の計画を立てるときは、会社の経営状況を正確に把握することが必要です。そのため、決算の直後が最適なタイミングといえます。

計画書を作成したからといって、すぐに引き継ぎを開始するとは限りません。何年にもわたり時間をかけて承継することも多いでしょう。そのような場合は、決算のたびに計画の進捗確認と見直しを行いましょう。

事業承継計画書を書く前にやるべきこと① 現状の把握

事業承継計画書を作成する準備として、「現状の把握」と「後継者・継承方法の確定」をしなければなりません。中小企業庁は、いままで培ったノウハウや技術を後継者にしっかりと引き継げるよう「事業継承ガイドライン」を公開しています。ここではそのガイドラインに沿って、詳しく説明していきます。

現状の把握

まずは、経営状況や経営課題など、会社の概要を正確に把握することから始めましょう。後継者側にも引き継ぐ価値のある企業かどうかを見極め、選択する自由があります。経営者自身が会社の状態を知ることで、業務改善(磨き上げ)をしてから引き継ぎするかどうかの判断材料となります。

相続や生前贈与などを行う場合は、法定相続人が誰なのか、人間関係によるトラブルが発生するリスクがあるかどうか、個人財産がどれほどあるかなどを調査しておくことも重要です。

後継者・継承方法の確定

計画書を作成する前に、事業承継の方法も決める必要があります。ここでは、「親族内の承継」「従業員などへの承継」「M&Aによる承継」という3つの承継方法を紹介します。

親族内の承継

親族内での承継は、他の方法と比べて内外の関係者から心情的に受け入れられやすい、早期に決定すれば一定の準備期間が確保できる、相続等により所有と経営の一体的な承継が期待できるなどのメリットがあります。一方、経営者としての能力と意欲の両方を持っている親族がいるとは限らないことや、後継者に選ばれなかった他の親族との関係が悪化するおそれがあるなどのデメリットがあります。

従業員などへの承継

従業員などへの承継では、親族内の承継で起こりうるデメリットを回避でき、経営者としての能力と意欲がある複数の者の中から最適な人物を見極め、承継できます。また、長年働いてきた従業員であれば、経営方針の食い違いや大きな方向転換が起こりづらく、周囲の関係者からの理解も得られやすいでしょう。ただし、承継したあとのトラブルを防ぐためにも、現経営者が主体となり、親族内の同意と協力を取り付ける必要があります。

M&Aによる承継

M&Aによって、社外へ引き継ぐという方法もあります。M&Aとは、株式譲渡や事業譲渡などを指し、親族や社内に適任者がいないときに外部で優秀な候補者を探せます。また、現経営者は会社売却の利益を得られるというメリットもあります。ただし、外部の人間に魅力を感じてもらうためには、親族や従業員などへ承継する場合よりも、会社の価値を高める磨き上げが必要です。

事業承継計画書の書き方

事業承継計画書の準備が終わったら、実際に策定する段階に移りましょう。事業承継計画書の書き方についても、「事業継承ガイドライン」に沿って説明していきます。

中長期目標の設定

先ほど述べたように、計画書を作成する前には、まず「現状の把握」をすることが必要です。それをもとに、計画書を書く段階では、中長期的な方向性や目標を明確に設定します。このとき、実際に目標の達成を目指すのは後継者であるため、後継者とともに検討するとよいでしょう。

自社の現状分析

「現状の把握」を受け、考えうる次世代に向けた改善点や方向性を分析します。これによって、より実行的な事業継承が可能になります。

今後の環境変化の予測と対応策・課題の検討

承継後の持続的な成長のためには、将来の環境変化を予想する必要があります。経営者の視点や長年の経験から、業界の環境変化を把握・予測して、適切な対応策や課題をまとめましょう。

事業承継の時期等を盛り込んだ事業の方向性の検討

将来の予測を立てたら、事業領域を明確化し、それを実現するためのプロセスを固めましょう。たとえば10年後までに、どの事業をどこまで成長させていくか、新事業を立ち上げるのかどうかといった構想の中に、どのタイミングで何を承継するのかも組み込みます。

具体的な目標の設定

この段階では、設定した中長期目標を具体化します。売り上げや利益、マーケットシェアなど、数値目標を設定しましょう。

円滑な事業承継に向けた課題の整理

以上の分析や整理を踏まえ、後継者を中心とした経営体制へ移行する際の具体的な課題を整理します。後継者の教育や親族・関係者との調整、税負担など、事業承継には課題がいくつもあります。専門家への相談や資金調達についても盛り込んでおくと、より実行力のある計画書を策定できます。

対策・実施時期を計画表にまとめる

最後に、ここまでで決めた目標や対策、実施時期を表にします。売上高や経営利益といった目標や、関係者理解を深めるための施策といった項目をグラフの行に、その達成・実施時期を列にして、目標数値・段階の推移をまとめましょう。

まとめ

中小企業は特に、トップダウン経営を行っている会社が多く見受けられます。そのときに、経験やノウハウ、顧客情報などがすべて経験者の頭の中にあると、事業を引き継ぐのは簡単ではありません。ITやクラウドサービスを活用すると、これまで経営者の判断が中心となっていた業績・業務管理などを見える化でき、スムーズな事業継承につながります。また、情報の共有や発信も活発になるでしょう。
現経営者がIT化に躊躇している場合でも、後継者を中心として導入を進めれば、後継者のリーダーシップを発揮する機会にもなります。事業承継計画書を作成する際は、同時にITやクラウドサービスを導入する良い機会と捉え、後継者とともに検討するとよいでしょう。

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