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2019年に施行開始された働き方改革関連法とは?主な内容について解説

 2021.11.19  CLOUDIL 【クラウディル】

「働き方改革関連法」は、長時間労働の是正や雇用形態による差別をなくした公正な待遇の推進など、労働者の働き方について多岐にわたる改善策を示した改革法案です。本記事では、働き方改革の具体的な内容について解説するとともに、これからの企業がとるべき対応についてご紹介します。

働き方改革関連法とは何か

少子高齢化や労働者ニーズの多様化が進む昨今、人々が最適な環境で働ける場を用意し、生産性の向上や労働機会の拡大を実現する必要性が求められています。そこで我が国では、労働者それぞれの事情に合わせた多様な働き方を選択できる社会を実現すべく、「働き方改革」に取り組むことになりました。

この働き方改革を推進するため、雇用対策法・労働基準法・安全衛生法・労働契約法・労働者派遣法など複数の分野において制定と改正が進み、2019年4月より随時施行されているのが「働き方改革関連法」です。同法では、働く人々が法改正を通じて将来に展望が持てるよう、以下の取り組みに改革の重点が置かれています。

  • 多様な働き方の実現
  • 長時間労働の是正
  • 雇用形態による不合理な待遇差の撤廃
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働き方改革関連法の主な内容

働き方改革関連法で主に整備が進められているのが、次の8項目です

  • 時間外労働の上限規制を導入
  • 年次有給休暇の確実な取得
  • 中小企業における月60時間超の残業の割増賃金率引上げ(2023年4月1日より施行)
  • フレックスタイム制の拡充
  • 勤務間インターバル制度の導入促進
  • 高度プロフェッショナル制度の創設
  • 正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差の禁止
  • 産業医・産業保健機能の強化

以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

時間外労働時間について

従来、法律上では時間外労働の上限が存在しませんでしたが、働き方改革により残業時間の上限が設けられました。具体的には「月45時間(1日あたり2時間までの想定)」「年間360時間」が原則上限となり、これを超えた残業が不可能になりました。

ただし、臨時的で特別の事情があり、従業員と会社の双方で合意がある場合は、これを超えての残業が可能です。その場合であっても「年720時間」「複数月平均80時間内(休日労働を含む)」「月100時間未満内(休日労働を含む)」の条件は守らなければならず、また月45時間を超過できるのは年間6ヶ月までとなっています。

有給休暇について

従来の有給休暇は、労働者自ら雇用側に申請し取得する必要があったため、消化率が50%以下と低い傾向にありました。法改正により、企業は10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、必ず5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられました。また、有給休暇を取得する日は、労働者側の希望する日であることが前提です。

割増賃金について

従来、中小企業における月60時間超の時間外労働の割増賃金率は一律25%でしたが、2023年4月1日より大企業と同様に、50%の割増賃金率が適用されるようになります。中小企業に当てはまっているかは、次の基準で判断します。

  • 小売業:資本金または出身金が5,000万円以下or常時使用する労働者が50人以下
  • 卸売業:資本金または出身金が1億円以下or常時使用する労働者が100人以下
  • サービス業:資本金または出身金が5,000万円以下or常時使用する労働者が100人以下
  • その他:資本金または出身金が3億円以下or常時使用する労働者が300人以下

なお、比較する際は事業所単位ではなく、一企業全体で検討する点に注意が必要です。

フレックスタイム制について

「フレックスタイム制」とは、従業員が自ら決めた出退勤の時間内で労働を行うことを定めた制度です。これにより、育児中の夫婦や通勤ラッシュを避けたい人など、さまざまな事情の人が出勤時間を自由に定めて勤労し、労働⽣産性の向上が見込めるようになりました。しかし、従来のフレックスタイム制は月内で清算していたため、育児などにより特定の時期に出勤が難しくなってしまう場合、所定の時間まで無理して働くか、労働時間が足りず欠勤扱いになってしまうという欠点もありました。

それが法改正により、フレックスタイム制の清算期間の上限が3ヶ月となったことで、労働者は3ヶ月単位での清算が可能になり、所定の労働時間を超えて働いた月の分を、労働時間が足りてない月に充当できるようになったのです。これにより、繁忙期に思いっきり働いた分、閑散期に労働時間を減らしてプライベートに打ち込む、といった自由な働き方が可能になりました。

なお、企業が1ヶ月を超える清算期間のフレックスタイム制を導入する場合、所轄労働基準監督署⻑に労使協定の届出を行う必要があります。

勤務間インターバルについて

「勤務間インターバル」とは、労働者の健康や生活に配慮するため、終業時間から次の始業時間までに一定の間隔を設けることを企業側に要請したものです。現状、具体的な時間の指定や規則に反した場合の罰則などはなく、努力目標にとどまっています。

高度プロフェッショナル制度について

年収1,075万円以上かつ高度な専門知識などを要する業務従事者について、時間外や休日労働に関する協定の締結や、割増賃金の支払い義務などを適用除外にできることを定めた制度です。制度が適用される業種については、金融商品の開発やディーリング業務、アナリスト、コンサルタント、研究開発業務などが挙げられます。これらは、労働に従事した時間と成果が必ずしも比例しない業種といえるでしょう。

本制度では、割増賃金の支払対象や残業規制などの制約にとらわれない労働が期待できる一方、企業側は対象者に医師の面接指導を受けさせるなどの義務が課せられます。

待遇差是正について

同一企業内にて同一の労働に従事している場合、正規雇用・非正規雇用といった雇用形態により、賃金や手当などの不合理な待遇差を禁止するための改正です。従来、パートタイムなどの労働時間が短い労働者を雇い入れた場合、昇給の有無や相談窓口といった事項をただちに説明する必要がありました。法改正により、このパートタイム従業員に対して適用された説明義務が、有期雇用の労働者についても対象となりました。

これらの労働者から正社員との待遇差について説明を求められた場合、企業側は待遇の決定に至った合理的な理由を示す義務があります。派遣労働者についても、派遣先の従業員と同じ業務を遂行している場合、同じ業務に従事する従業員の平均的な賃金と同等以上の賃金を支払うなど待遇改善が義務付けられます。

また、行政ADR(事業主と労働者との間の紛争を裁判外で解決する手続き)が整備されたことで、これらの待遇改善や情報説明の義務についても、行政ADRの対象となりました。

労働時間の把握について

働き方改革関連法では、全従業員の労働時間を客観的に把握できるようにすることも義務付けられました。企業はタイムカードやコンピューターなどの勤怠ツールを用いて、従業員の労働時間を記録し、それらに関する書類を3年間保存しておく義務があります。なお、労働時間を記録するのは、裁量労働制を採用している従業員や管理職なども含めた全従業員が対象です。

産業医・産業保健機能について

労働者の健康管理などを担う産業医についての法律が強化され、企業は健康診断の結果や労働時間が大幅に超過した従業員などに関する情報を、産業医側に提供することが義務付けられました。産業医はこれらの情報をもとに、残業時間が月80時間にのぼる従業員などを対象に面接指導を行います。また企業側は、産業医が従業員の健康相談や面接を適切に行えるよう、事業所の体制や環境を整備する必要があります。

働き方改革関連法施行後の状況や今後の課題

東京都が2020年10月に実施した事業所調査によると、「時間外労働の上限規制」「有給の年5日消化の義務化」については認知度が9割を超えており、それ以外の改正についても過半数が内容を認知していました。しかし、法改正の具体的な内容まではよくわかっていないという声も多く、すべての項目が完全に認知されるようになることが今後の課題です。

また従業員調査を見ると、勤務間インターバルや高度プロフェッショナル制度の認知がさほど進んでおらず、企業側が率先してこれらを周知させていく必要があると思われます。

一方、時間外労働の上限規制への対応に関しては、全国商工会連合会が2021年1月に公表した調査結果によると、「特定の時期に業務が集中する」「人手不足」を課題に挙げている中小企業が約半数を占めています。業務量に対する1人あたりの負担も増えているため、中小企業の人手不足の改善も急務といえます。

さらに同調査では、同一労働同一賃金について「内容がわかりづらい」「非正規従業員の待遇改善により増加した人件費を負担しきれない」と回答した企業も多く、法律施行後に等しく実施されるかどうかも課題といえるでしょう。

まとめ

働き方改革の推進により職場環境を整備し、従業員のモチベーションを上昇させることは、生産性の向上や業績アップにつながります。しかし、働き方改革関連法では企業に求められる義務が多く、企業によっては即応することが難しいケースもあるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、最新の法改正に対応したITツールの導入です。ITツールを用いることで、煩雑な勤怠管理や残業代の計算を自動化できます。これにより、それらの管理業務に従事する従業員の負担を軽減し、社内の働き方改革につなげられます。働き方改革への対応に課題を感じている場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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