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政府が提唱する働き方改革実行計画とは?内容とロードマップを紹介

 2021.11.19  CLOUDIL 【クラウディル】

2019年より本格的に実施されている「働き方改革」。本記事では、働き方改革の具体的な内容や進め方をまとめた、働き方改革実行計画について解説します。どのような目的で、どのような施策が計画・実施されているのか、今後の労働制度に深く関わる内容ゆえ、ぜひご一読ください。

働き方改革実行計画が掲げる「働き方改革」の意義

現在、日本の労働制度や働き方は「正規・非正規の不合理な処遇差」や「長時間労働」、「単線型のキャリアパス」などの課題を抱えています。これらの課題を克服し、万人が働きやすい環境を整えながら(≒ワーク・ライフ・バランスの改善)、企業の生産性も確保するための手段が「働き方改革」です。

働き方改革の実現に向けて、長年にわたり議論・検討された内容の集大成ともいえるのが、今回ご紹介する「働き方改革実行計画」です。働き方改革実行計画は、働き方改革の基本的な考え方と進め方を示し、長期的かつ継続的な取り組みを行っていくための指針としての役割を担っています。

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働き方改革実行計画で示された9分野の改善策

働き方改革を実現するための具体案として、働き方改革実行計画には9分野の改善策が記載されています。以下では、これら9つの改善策について個別に見ていきましょう。

1.非正規雇用の処遇改善

働き方改革を実施されるに至った背景のひとつが、正規・非正規の不合理な処遇差です。これを解消するため、働き方改革では2つの取り組みが行われます。それが、「同一労働同一賃金の確保」と「非正規雇用者のキャリアアップ推進」です。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、同一企業・団体における正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の解消を目指す考え方です。非正規雇用労働者の待遇を法的根拠に則り守るため、パートタイム労働法や労働契約法などの改正も行われました。

同一労働同一賃金では、職務内容や配置の変更範囲、客観的に説明できる具体的な実態に違いがなければ、正規・非正規を問わず同等の待遇にすべきとしています。ここでいう待遇とは、基本給や昇給、ボーナスなどの賃金はもちろん、福利厚生や各種手当、教育訓練なども含みます。

非正規雇用者のキャリアアップ推進

非正規雇用者の正社員化の推進や、賃上げに取り組む企業への助成金制度の拡充により、キャリアアップも推進しています。また、有期労働契約が5年間継続されると、労働者からの申し込みにより無期雇用に転換する、いわゆる「5年ルール」の認知度向上にも努めています。

2.賃金引上げと労働生産性向上

続いては、上昇傾向にある企業収益を継続的な賃上げにつなげることで、経済の好循環を生み出すことを目的とした、賃金引上げと労働生産性向上です。具体的には、「年率3%を目途に最低賃金の引上げ」「賃上げに積極的な企業の税額控除や助成の強化」「生産性向上に取り組む企業への支援」などに取り組む見通しです。

3.長時間労働の是正

日本の労働時間は20年間ほぼ減少しておらず、外国と比較して長時間であることが問題視されてきました。働き方改革の目的である、健康で働きやすい職場環境を整備するためにも、長時間労働の是正が必要です。そこで、労働基準法の改正も含め、複数の改善案が出されました。ここでは、メインとなる「時間外労働の上限規制」と「勤務間インターバル制度」についてご紹介します。

時間外労働の上限規制

2020年、働き方改革の一環として労働基準法が改正されました。これにより、週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の上限が、原則月45時間かつ年360時間までと定められました。

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度とは、労働者が一定の休息を必ず取れるよう、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に休息時間(インターバル)を設ける制度です。制度を導入する中小企業への助成金制度も実施しています。

4.柔軟な働き方がしやすい環境整備

子育てや介護と仕事の両立など、柔軟な働き方をするには、相応の環境整備が必要です。そこで働き方改革では、テレワークおよび副業・兼業を推進しています。具体的には、普及を促すため周知を図り、ガイドラインを策定しました。それぞれのガイドラインは下記URLから確認できます。

テレワークの適切な導入及び実施の推進ためのガイドライン|厚生労働省

副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

5.病気の治療・子育て・介護と仕事の両立、および障害者就労の推進

病気の治療をしながら働いている人は、全労働人口の1/3を占めるといいます。そうした人々を支援するため、「トライアングル型のサポート体制の構築」を検討しています。これは、企業と医療機関に加え、両立支援コーディネーター(医療ソーシャルワーカーや社労士など)が参加し、労働者(患者)に関する情報を共有しつつ、支援していくような仕組みです。

また、子育て・介護と仕事の両立や障害者の就労についても、国や社会が一体となって支援していく姿勢を見せています。働き方改革実行計画では、子育て・介護と仕事の両立に関して「保育士・介護人材の処遇改善」「男性の育児休暇を奨励する仕組みづくり」など、障害者就労の推進に関しては「障害者の法定雇用率の引き上げ」「障害者の実習での受け入れ支援」「障害の特性に応じた就学・就職が行える体制の構築」「障害者の在宅就業の促進」などが記載されています。

6.外国人材の受け入れ

市場のグローバル化が著しい現代、日本企業が市場競争を勝ち抜くには、優秀な人材の確保が急務です。しかし、IT人材の不足をはじめ、昨今は高度な技術・知識をもった人材の不足があらゆる業界で問題となっています。

こうした背景から、働き方改革実行計画には、外国人材の積極的な受け入れに関しても記述があります。具体的には、「人材と企業のマッチング支援」「外国人の就労・生活環境の整備推進」「永住許可申請に要する在留期間の短縮」などです。ただし、日本人の雇用への影響も踏まえ、専門的・技術的でない分野については慎重に検討されています。

7.女性・若者が活躍しやすい環境整備

就労を希望しつつも働けないという人を減らすべく、女性のさらなる活躍や就職氷河期世代、若者の活躍に向けた支援・環境整備が行われています。主な支援としては、「個人の学び直し支援」「多様な女性の活躍推進」「就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援」です。

個人の学び直し支援

雇用保険法の改正による教育訓練給付金の拡充により、リカレント教育や職業訓練など、個人が学び直すハードルが下がりました。なお「リカレント教育」とは、個々が自身の必要性に応じて教育を受け、仕事で求められる能力を磨き続けていくことです。

多様な女性の活躍推進

男性の育児休業の取得状況や、女性の管理職比率などを企業に公表させることで、女性活躍に関する企業情報の可視化を進めています。また、復職制度をもつ企業の情報公開を推進したり、復職に積極的な企業を支援したりといった取り組みも行っています。

就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援・環境整備の推進

雇用促進法・職業安定法の改正や、高卒資格取得に向けた支援を実施しています。

8.転職・再就職支援、および教育環境の整備

日本を再チャレンジ可能な社会にするには、転職・再就職など、新卒以外の採用機会の拡大が求められます。そこで、転職・再就職に関する取り組みとして、「能力基準の人事評価を実施する企業への助成」「転職・再就職向けのガイドブック作成」「若者が技能検定を受験する際の受検料減免」などが挙げられています。

また、将来の日本経済の担い手である子供たちが、家庭の経済事情に左右されず適切な教育が受けられるような環境づくりも大切です。そこで、「給付型の奨学金制度の創設」「無利子の奨学金の拡充」「貸与型の奨学金の負担軽減」「幼児教育の段階的な無償化」が実施・計画されています。

9.高齢者の就業促進

65歳以降の継続雇用延長や定年延長を行う企業への支援など、継続雇用年数を引き上げるための環境整備も行っています。たとえば、定年延長の手法を紹介するマニュアルの策定や、助成措置の強化などが挙げられます。

加えて、年齢を問わず働けるよう、ハローワークにおいて高齢者が就業可能な求人の開拓・可視化やマッチングネットワークの創設、高齢者が起業する際の雇用助成措置の強化も実施しています。

働き方改革の実現を見据えたロードマップ

働き方改革実行計画の最終項目は、10年先を見据えたロードマップ(工程表)です。ここでは、具体的な働き方改革の実施内容、および10年間の実施計画が提示されています。2017年から取り組まれている働き方改革は、2021年に4年目を迎えました。全19項目からなる施策は、すでに段階的な施行あるいは見直しの時期に入っています。いまだ検討段階にある施策や、周知が行き渡っていない施策もありますが、数年以内にはテレワークのように社会へ浸透するものも現れるでしょう。

まとめ

「働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会」を目指す働き方改革は、今回ご紹介した9分野における改善策での実現が予定されています。10年を目途に計画されたロードマップによると、働き方改革は現在、実践の段階に入っています。今後、企業単位での働き方改革の実施も増すことで、社会的にも働き方が変わっていくことでしょう。

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