2020年度 全国中小企業クラウド実践大賞 全国大会開催

 2021年1月28日、「全国中小企業クラウド実践大賞」全国大会を開催しました。中小企業・小規模事業者10社による公開プレゼンテーションを行い、この中から株式会社さくらコミュニティサービスが総務大臣賞を受賞しました。

 本大会では、昨年11月の「全国中小企業クラウド実践大賞」地方大会(札幌、郡山、大阪、岡山、福岡で開催)に参加した中小企業等38社の中から選ばれた10社が、自ら推進する収益力向上や経営効率化を実現したクラウドサービス実践事例を発表しました。

2020年度 全国中小企業クラウド実践大賞

総務大臣賞

受賞:株式会社さくらコミュニティサービス

社員の英知を結集した北海道発‼
KAIGOクラウドサービスの実践

 日本では、すでに5年後には40万人の介護人材不足が見込まれている。介護事業は労働集約型であり、全産業と比べても非常に労働生産性が低い。同社は既存のクラウドサービス導入を検討するが、現場にマッチするものを見つけられず、資金も不足していた。そこで、経産省の支援を受けコンソーシアムを結成。クラウドワーカーを採用して遠隔開発を行い、介護クラウドサービス「Care Viewer(ケアビューアー)」を2年かけて自社開発した。機能としては、介護記録を手書きからアプリでの入力できるようにしたほか、日常的に生じる細かい業務のリマインド、コロナ禍によるオンライン面会ができる機能などを実装。外国人向けに他言語にも対応した。結果、自社にて月間5400時間にも及んでいた介護記録にかかる業務時間が810時間へと85%削減、紙での業務にかかるコストを年間300万円削減した。さらに他事業所でのシステム採用により販売収益を得ることもできるように。今後は各種アプリとの連携、AI活用によるケアプランの自動作成や、IoTによる介護利用者情報の自動収集など、利用者へのケアの充実とともに社員の業務負荷を削減するシステム開発を目指す。

総務大臣賞:株式会社さくらコミュニティサービス

日本商工会議所会頭賞

受賞:隂山建設株式会社

建設現場を変える挑戦

 建設業界は90%以上の企業が中小企業。従来DX、クラウド活用に後ろ向きな風潮があった。また一般建築においては組織構造が複雑で難しく、IT企業によるシステム開発が困難という現状。しかし、2025年には技能労働者が約130万人不足すると予測されており、今後の労働力の減少は確定している。そのような中、同社は2017年に建築現場における施工管理にドローンを導入。2018年にはすべての新築現場で自社パイロットによるドローン飛行を100%実施し、災害復興支援への活用に早くから取り組み始めた。また、地元IT企業と連携したシステム開発の子会社を設立。2019年には建設情報を可視化するアプリ「Building MORE(ビルモア)」を自社開発した。施主と建設現場をつなぐために、クラウド使った管理を行うシステムを考案する。建設業にクラウドとIoTを導入することで、顧客満足度、生産性、安全性、従業員満足度の向上を実現。大企業とも連携し、さらなるチャレンジに挑んでいる。同社はクラウド・IoTを活用した社会貢献活動も積極的に推進。建設現場をよりスマートに変えるため取り組みを続ける。

日本商工会議所会頭賞:隂山建設株式会社

全国商工会連合会会長賞

受賞:株式会社ウチダレック

~鳥取発砂だらけの DX 改革~
「不動産業界初の週休3日」「1人あたり営業利益2.5倍」の実現

 同社は地域トップシェアの不動産会社だが、社内の生産性の低さが問題となっていた。さらに外部環境として急激な人口減少による顧客数減に危機感を感じ、星野リゾートをモデルにクラウドを使ったDX改革を実行する。「仕事は気合と根性で回す」という空気の中、業務プロセスの標準化・定量化・業務の仕組み化のためにクラウドCRMの基盤を整備。実践に当たっては、社長自ら全ての業務を行って業務標準をつくりながら業務改善を行った。業務を属人化していたベテラン社員の強い抵抗にあいながらも、粘り強く改革に取り組んだ。結果、ブラックボックス化していた業務の可視化と効率化を成し遂げる。クラウド活用による定量効果としては、日本の不動産業界で唯一、週休3日を実現(年間休日1か月以上増加)。さらに1人あたりの営業利益は2.5倍の水準にアップ、経費を40%削減、離職率も3%(業界水準の1/5)まで引き下げるなどめざましい成果を上げた。今後もクラウドを活用した経営戦略DXを徹底的に行うことで、公益資本主義の実現を目指す。

全国商工会連合会会長賞:株式会社ウチダレック

全国中小企業団体中央会会長賞

受賞:株式会社 WORK SMILE LABO

中小企業は今こそクラウド活用で働き方変革

 もともとOA機器やオフィス用品の販売を展開していたが、市場の変化とリーマンショックにより倒産寸前にまで経営状況が悪化した同社。それが今や岡山県内の新卒学生の就職希望ランキングでは、地場大手企業に続き4位にランクインするほどに。きっかけは、5年前のパート社員の家庭の事情による退職の危機だった。そこで在宅つまり社外で仕事をするテレワーク環境を整備することで退職慰留をはかったのだ。現在ほどクラウドサービスの普及がない中、テレワークの環境を推進するために手探りでクラウド化を進めた。結果、業務が効率化し、残業時間が削減されるなど、自社の働き方改革も行われる結果に。それから営業管理やタスク管理など、コロナ禍において全社員が出社しなくても仕事ができる体制を整えた。結果、当時に比べ、会社全体の業務効率は273%と大幅にアップ。給与アップにも反映させた。同社のテレワーク推進は総務大臣賞を受賞するなど高く評価されている。現在は、自社のクラウド化のノウハウを元に、中小企業のワークスタイルを提案する会社として復活を遂げた。

全国中小企業団体中央会会長賞:株式会社 WORK SMILE LABO

クラウド活用・地域ICT投資促進協議会理事長賞

受賞:株式会社ユニフォームネット

クラウドサービスで「経営課題」に立ち向かうアトツギの挑戦!

 リーマンショックによる売上減少の後、東日本大震災により赤字に転落し、経営危機を迎えた同社。2012年に事業承継を行う。属人的な組織と営業手法から脱却するために、営業支援システムSFA(Sales Force Automation)を導入し、営業日報の入力を簡略化。移行期間を取り、少しずつ入力を促すことで営業情報の蓄積をはかる。3年の後、得たデータをビッグデータとして活用・分析することで、売上構成、受注・失注の傾向を把握した。さらに行動分析により、拠点・役職・個人別にそれぞれの営業活動を分析することで課題を「見える化」して全社共有。こうして人的要因による機会損失を防いだ結果、2010年には12億円だった売上が2019年には24億円と2倍の売上に。アナログ業務をDXすることで、効率化や利便性向上をはかった結果、生まれた時間をお客様との信頼構築や、潜在ニーズ把握などの接点強化にあてる。一例としてお客様のインタビューサイトも開設した。一昨年から新しい営業形態としてオンライン面談も導入。アフターコロナ時代に向けて、営業活動とデジタル技術を融合させるDXを推進中である。

受賞:株式会社ユニフォームネット

クラウドサービス推進機構理事長賞

受賞:マツ六株式会社

縦割り組織からOne Teamへ

 建築資材の専門商社であるマツ六株式会社。その事業の特徴は、建築金物・建築材料を扱う商社でありながらも、建材を制作するメーカーとして両方の機能を持っていることだ。新設住宅着工戸数激減に対応すべく高齢者向けリフォーム市場を開拓。施工業者向けにカタログインターネット通販事業を2005年に立ち上げるなど、早くからIT化にも取り組んできた。しかし、建築業界以外のお客様が増えニーズが多様化したことより、縦割り組織で属人化した業務形態では十分なパフォーマンスができないと判断。生産性の向上を経営方針にかかげ、クラウド活用による働き方改革を行う。「Sansan」と「LINE WORKS」を並行して使用し、情報管理の共有化だけでなく、コロナ禍における時間と場所の制約を解消した。全部門にて「仕事での気づき」などの情報を共用し、社内コミュニケーションを活性化。マイノリティの意見をすくい上げることで、新たな商品や建材サルベージなど新たなサービスの開発にもつなげている。

受賞:マツ六株式会社

ITコーディネータ協会会長賞

受賞:株式会社ネオマルス

わたしたちのクラウド活用

 株式会社ネオマルスは「人をつなぐ・情報をつなぐ」というテーマをもとに、電気通信工事業・人材事業・IT推進事業の3つの事業を展開する企業。これまで右肩上がりに成長を続けていた。2003年にはすでにIT化に着手。事業に特化できるように、従業員数の増加にともない、社内業務の改善を優先的に行うと決定。クラウド化にも2008年から取り組むことに。数多のシステムについてテスト利用を行って選定。まずは既存クラウドサービスの活用として、ワークフロー・社内連絡はサイボウズ、社外へのメールや資料展開にはGoogleWorkspace、社内サーバーの老朽化からAWSへの移行も行った。さらに、業務の改善のために自社独自のクラウドシステム「ステラ」の開発にも着手。業務の進捗状況がリアルタイムで把握できるようにした。取引先には無償提供、同業他社でシステムのみ利用希望の場合はサブスクリプションで提供。クラウドサービス導入をきっかけとし、そのノウハウをパッケージ化する新しいビジネスも生まれた。これからも自社だけでなく、業界全体の課題の解決を目指して取り組みを続ける。

受賞:株式会社ネオマルス

IT顧問化協会賞

受賞:株式会社タニハタ

クラウドで飛鳥時代から続く伝統工芸を未来につなぐ。

 飛鳥時代から続く伝統⼯芸「組子」を作る株式会社タニハタ。和室の障子や欄間などを作ってきたが、住宅着工件数と和室の減少により経営危機に追い込まれる。そこで販路拡大のために2000年にネット通販、2006年以降BtoB販売を開始。結果、組子本来の美しさが認められ、高級ホテルやブランドショップの壁面を飾るような「アート」として使われるようになった。しかし、顧客が増えるに従って社内の情報伝達が混乱。情報共有ができずに業務に支障を来してしまうように。そこで独自の「業者会員様管理システム」を2013年から開発。顧客情報と受注履歴やプロジェクト管理、それらにまつわる担当者とのやりとりと作業工程をクラウドで共有化した。結果、社内連絡ミス・連絡遅延ゼロを達成。これまで作業に費やしていた時間を、デザイン提案、商品開発、海外研修などクリエイティブな業務に充当することが可能に。さらに自己資本比率も20%から80%まで向上。現金取引がほぼ100%になったため資金繰り難の解消まで成し遂げる。地方の小さな古いモノ作り企業でもクラウドでチャンスを得ることで世界に羽ばたいた。

受賞:株式会社タニハタ

日本デジタルトランスフォーメーション推進協会会長賞

受賞:株式会社ロゴスホーム

しあわせな家庭を世の中に増やすクラウド活用が切り開く今後の住宅産業

 北海道の中でも特に自然環境が厳しい十勝エリアにおいて、快適な住宅を手が届く価格で提供する同社。しかし、人口減少とともに住宅着工戸数は減少傾向にある。そこで、今後の生存政略としてあらゆる部分の効率化とストック型ビジネスの導入・強化を目指すことに。まずは営業フローの効率化のためにSalesforceを導入。CRM(顧客関係管理)とMA( マーケティングオートメーション)を活用し業務改善に取り組む。まず、コロナ禍の中でこれまでの紙媒体広告からデジタル化へシフト。WEB広告の有用性を実証し獲得単価を3割に圧縮することと媒体ごとの費用対効果の把握に成功する。さらに営業プロセスを最適化してタスクを自動化。営業活動の効率化とともに質の改善も図った。結果、コロナ禍の中でも前年比で反響数は143%、商談数は173%、そして成約数は152%と順調に推移。他にも様々なクラウドサービスを活用することで、リモートワークへの移行もいち早く行うことができた。今後ミッションである「家づくりを通してしあわせな家庭を世の中に増やす」の実現のため、会クラウド化に邁進する。

受賞:株式会社ロゴスホーム

審査員特別賞

受賞:税理士法人マッチポイント

中小企業の働き方改革とDX普及の役割

 高齢化が進む税理士業界の中で「理想の税理士法人を作りたい!」と設立した税理士法人マッチポイント。そのミッションは「中小企業のライフスタイルをデザインする」だ。日本一の会計事務所を目指し、クラウドの積極的な導入による働き方改革に取り組んでいる。まずは社内外のコミュニケーションをChatworkとZoomによりクラウド化。顧問先企業に信頼される担当者になるために、従業員に対し知識だけでなくコミュニケーション能⼒などを高める社内研修「マッチポイントカレッジ」を実施する。マネーフォワード・クラウドサイン・ドキュワークス、Bizloboなどを活用したバックオフィス業務のペーパレス化、クラウド化を行った。これらの取り組みにより、業務時間の削減だけでなく、コロナ禍において社員全員の在宅勤務可能となる。さらなる取り組みとして、完全オンライン税理士サービスを手がけることで、全国から集客を可能とした。現在は、顧問先企業のクラウド化についてもコンサルテーションを提供している。

受賞:税理士法人マッチポイント