全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

2020年11月11日に行われた札幌大会より、大鎌電気株式会社の事例発表をご覧ください。

新型コロナウイルス感染症の影響を逆手に取り、リソースの浮いた新卒社員を社内業務のIT化に集中投入。DXにより働き方改革とフリーアドレス、新卒の積極採用を実現した事例です。

⼤鎌電気株式会社の概要

⼤鎌電気株式会社の概要

■法人名:⼤鎌電気株式会社

事業内容 :電気設備工事、空調設備工事、省エネ・コスト削減をトータルプロデュース、自家消費型太陽光、衛生商品販売

■設⽴: 1945年11⽉

従業員数: 25名(うち⼯事部15名)

WEBサイト:https://www.ookama.co.jp/

 ⼤鎌電気株式会社は、いわゆる“普通”の電気⼯事を行う中小企業。2012年に先代社長がなくなったことに伴い、息子さんである現社長が入社。2012年では5名だった社員を2020年現在では25名と5倍に増やしています。

しかし、第一印象が「なんて、アナログな会社なんだ……」だったと今でもはっきり覚えているそうです。

当時の会社の現状

当時の会社の現状01
当時の会社の現状02
当時の会社の現状03

こちらは、3年前に壁と床と什器を更新した時の事務所の様子です。

2枚目は工事部門のデスク周り、3枚目は総務・営業部門のデスク周りですが、いろいろなものが乱雑に散らばっています。

社員数の増加によりコミュニケーションが30倍に

社員数の増加によりコミュニケーションが30倍に

こちらの数式は、組織の人数によるコミュニケーションの必要性を表わしたものです。

大鎌電気株式会社は、5名から25枚まで社員数を増やしていますが、じゃあコミュニケーションは5倍で良いかというとそうはいきません。

この式のnに人数を代入して計算してみましょう。

  • 5名の時:5×(5-1)/2=10
  • 25名の時:25×(25-1)/2=300

5人の時は10なのに、25人の時は300となり、なっており実に30倍。

社員数は5倍でしたが、コミュニケーションは30倍求められるようになり、より重要性が増すのです。

このことから、大鎌電気ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入を加速させることにいたしました。

⼤鎌電気のDXの取り組み状況

⼤鎌電気のDXの取り組み状況

大鎌電気の DX の取り組みはハードとソフトでそれぞれこのようになっています。

主にコミュニケーションツールを中心に推進いたしました。

本日はSPIDERPLUS」の活用について主に解説します。

DXの推進体制

DXの推進体制

 DX の推進体制については、新卒を DX 推進の中心に配置しています。

本来、2020年6月にBtoC、つまり一般顧客向けの電気工事の営業の事業部を立ち上げる予定があったため、新卒を8名と多く採用していました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、その事業が延期になってしまったため、コロナピンチをコロナチャンスに変えようと、このリソースを思い切って DX の推進に全て投入したのです。

⼀番の課題

⼀番の課題01

スパイダープラスを導入した背景について、当時抱えていた課題を解説します。

2019年4月に働き方改革が施行されました。その内容については上記の通りです。

大鎌電気では、以下の3つが対応すべき内容ですが、

①残業時間の「罰則付き上限規制」

②5日間の「有給休暇取得」の義務化

⑥「同一労働・同一賃金の原則」

②⑥については、すでに対応済みもしくは該当がないため、

①残業時間の「罰則付き上限規制」について重点施策として取り組むことにしました。

(参考)時間外労働の上限規制
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
 施行:大企業:2019年4月〜/中小企業:2020年4月〜
※建設業に対しては5年間の猶予が与えられ、2024年4月から施行
出典:厚生労働省 働き方改革特設サイトhttps://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

 具体的にどのくらい残業時間があるのかを確認するため、工事部の従業員の作業時間をまとめました。

⼀番の課題02

2月の残業時間を抽出したのは、年間における繁忙期だからです。

全体の平均残業時間は46.3時間。月の45時間の上限を超えている状況です。

それぞれの人別に見た場合、3名が45時間を超えていました。

右の表に線を引いていますが、線の上が現場代理人、下が職人という職責で分けています。

45時間超過のうち、A部長、B部長は80時間超えとなっており、現場代理人の方が職人よりも残業時間が多い傾向です。

⼀番の課題03

なぜ現場代理人の残業が多くなるのか?業務における時間配分をグラフにしてみました。

8:00から17:00までは現場管理人と職人ともに現場で作業をしています。

現場代理人は、それ以降に事務所に戻ってから

  • 書類作成
  • 図面書き
  • 写真整理

などの作業があるため、移動時間も含めてどうしても残業時間が増えてしまうのです。

  

⼀番の課題04

社員にヒアリングして課題をまとめたところ、3つのポイントに絞り込むことができました。

事務所に戻らないと作業ができないため、会社と現場を往復しないといけません。

また、現場の様子を撮影した写真を会社に戻ってから整理しないといけない。現場ごとの情報共有がされていないので、他の人に仕事を任せたり手伝ってもらったりができておらず、皆が困っている状況でした。

スパイダープラスの導入

スパイダープラスの導入

そこで出会ったのが「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」です。

スパイダープラスは、建設・メンテナンス業向け図面、現場管理アプリですが、作業記録や指摘内容はクラウドで管理・集約できる様々な機能があります。

  • 現場持込みがタブレット1つに
  • 現場で図⾯などのデータを確認可能
  • 現場をやりながら雑務も同時進⾏

特に以下の3つの機能を用いることで、残業時間を減らせることを確信し、2019年6月よりスパイダープラスを導入しました

スパイダープラスを浸透させるために

スパイダープラスを浸透させるために

スパイダープラスの説明会にはZoomを活⽤し、何度も実施をすることで、社内での利用推進を図りました。

スパイダープラスで実現したこと

スパイダープラスを導入したことで、3つの課題についてそれぞれ解決をみることができました。

課題①:“超ムダ”な会社と現場の往復

課題①:“超ムダ”な会社と現場の往復

 これまでは、現場まで重い書類を持って行き「あれ忘れた…取りに⾏かないと」といったことが頻発していました。(写真左右)

しかし、スパイダープラスの導入により、簡単に図⾯データを持ち運びできるようになったため、荷物も作業も減り、現場での確認はiPad1つでできるようになりました(写真中央)

課題②:帰ってきてから夜に写真整理

課題②:帰ってきてから夜に写真整理

現場によっては多い時で3,000枚ほど写真を撮影します。

これまでは撮影した写真を、一つ一つファイル名を変え、さらに工程ごとのフォルダを新たに作成し、フォルダごとの作業内容に写真を仕分けしていく作業を全て手作業で行っておりました。非常に手間がかかります。

スパイダープラスの導入により、iPadで撮影した写真は⾃動で⼯程ごとに仕分けされ、フォルダも自動生成、写真の名称も自動で変更されて振り分けられるようになったので、事務所に戻らなくても良くなりました。

課題③:情報共有ができず、⼿伝えない

課題③:情報共有ができず、⼿伝えない

3つめの課題は、スパイダープラスを活用することで、クラウド上で情報を共有できるようになったことから、図⾯を各現場で共有し、事務所にいる社員が営業時間内に現場監督の

代わりに書類作成のサポートを行うなど、業務分担が可能になりました。

導⼊効果

導⼊効果

 スパイダープラスの導入により、工事部の平均残業時間は36.3時間となり、45時間を下回ることができました。

部門合計では、95時間の削減に成功しています。

しかし個人別に見ると、まだ残業45時間を超えている社員がいるので、できるだけ早い段階で45時間以内にすることを目標に、これからも社内のクラウド推進を行っていきます。

社員からも「これまで残業時間を減らすことができると思わなかったので、家庭に使う時間が増えて嬉しいです︕︕」という嬉しいコメントが寄せられました。

新たな価値の創出

 Before

新たな価値の創出01

After

新たな価値の創出02

嬉しい誤算ですが、クラウド推進によって書類が減り、Beforeの写真と比較すると、かなりスッキリした事務所になりました。

新たな価値の創出03

また、ノートPC・ iPadを全社員に支給していますので、フリーアドレスも可能となっています。

新卒の積極的採用にもクラウド化は功を奏し、21卒の社員に実際に話を聞いてみると会社で IT化していたり、フリーアドレスを実現していることに関して興味を持ち応募したという声も多く聞かれました。

新たなコミュニケーション

新たなコミュニケーション

 DXは新たなコミュニケーションも生み出しました。

ベテランが若手に技術を教えるという昔ならではのコミュニケーションに加え、DXを推進することで今度は逆に若手がベテランにパソコンやタブレット、システムの使い方を教えるというような「教え合う」という文化が生まれたのです。

今後の展開 

今後の展開

近年は、新型コロナウイルス感染症や5Gなど、我々を取り巻く環境というのは急速に変化している状況です。

大鎌電気では、これからも最新の IT機器やAIツールなどを利用し、時代の変化に対応して必ず成長し続けます。